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ドル・キャリーと円キャリー

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

ドル売られ過ぎが拡大している。経験的にはいったん大きくドル買い戻しに向かう動きがいつ始まってもおかしくない状況となってきたようだ。

◆ドル売られ過ぎの転換点
ヘッジファンドなどの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、米ドルのポジション(非米ドル主要5通貨=日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドルのポジションから推計)は、2月8日現在で14.3万枚の売り越しとなった。ドルのポジション拡大は、経験的に±15―20万枚が限界で反転する。その意味では、ドル売りからドル買いへの反転が近そうだ。
直近で、ドル売りが限界に達してドル買いに転じたのは昨年10月だった。ドルのポジションは、昨年10月初めに17.2万枚で売り越し拡大が一巡、縮小に転じた。その中で、ドルは対ユーロで1.42ドルから1.3ドル前後へ、対円でも80円から84円台へ反発となったのである。
ドルは2月に入ってから対円、ユーロでともに反発に向かった。これがすでにドル売られ過ぎの修正を受けた動きの可能性もあるだろう。そうであれば、まだしばらくドル買い戻しが続く可能性がありそうだ。

◆円キャリー説急浮上の「?」
15日の海外市場で円一段安になると、一般的な市況解説は「円キャリーの結果」といった解説で奇妙なほど一致していた。まるで誰かが作為的に円売り取引拡大のムード作りに動いている感じさえある。
円キャリー取引とは、いうまでもなく、低金利の円資金を安く調達し、それを売ってより高い利回りの運用先に投資する取引のことをいう。別名「円売り運用」となるだろう。この円キャリー取引のピークは、もちろんドル円が120円を超え、ユーロ円が160円を超え、豪ドル円が100円を超えるといった具合に円全面安が展開した2007年だ。
ヘッジファンドなど為替の代表的な投機筋の取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、当時の円ポジションは、15万枚を超える売り越しとなっていた。では、円キャリーで円安になったとされる最近はどうか。同じCFTC統計によると、2月8日現在で円は3万枚超の買い越しだった。売り越しではないわけだ。
買い越しということで、決して円売り拡大の兆候はないのに、円売り運用、円キャリー取引で円安になっているとの解説が、一般的に奇妙なほど一致したのはなぜだろう。作為的に円売り拡大のムード作りが必要な人がいると勘繰りたくなるところだ。
代表的な投機筋、モデル系ファンドはシステム・プログラムの関係なのか120日移動平均線を重視しているとされるが、そんな120日線をドルは最近上抜けてきた。要するに、チャート的には、一段のドル高・円安の可能性が示されたことになる。ヘッジファンドが、ドル売り・円買いポジションを抱えていたなら、ドル買い戻しの環境作りが必要だろう。
違和感のある形で突如浮上した円キャリー説は、そんなヘッジファンドを取り巻く環境を考えるとますます作為的な匂いが強いような気もする。(了)

【参考リンク】
*注1. 円のポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=JPN#osatab

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2011.02.21 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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