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エジプト混乱とQEを結ぶ「点と線」

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

エジプト混乱は、ムバラク長期政権交代といった大ニュースになっているが、では為替への影響はどんなふうに考えたら良いか。難しいところではあるが、まず注目したのは米金融政策への影響。結論的にいうと、これでFRB(米連邦準備制度理事会)の第三次量的緩和、いわゆるQE3の可能性はほぼなくなったのではないか。その点でいえば、米金利上昇、ドル高要因だろう。

◆QE3の可能性は完全になくなった?!
「これでQE3の可能性は絶対にないだろう――」。有力為替アナリストに、同氏がエジプト問題をテーマに書いたレポートの結論として、「先進国の超金融緩和策の修正が必要になる」とまとめていたことの具体的な意味を質したことへの回答がそれだった。
米国の量的緩和、QEは、2009年3月からと、そして昨年11月から2回行われている。ただこの2回目、QE2は、諸外国から強い批判を受けるものとなった。昨年11月のQE2決定直後、G20サミットが開かれたが、その中で米国は新興国、そしてドイツなど先進国の一部からも強い批判を受けた。
ところで、今回エジプトで長期政権打倒の動きが急拡大した一因は、世界的なインフレ懸念の中で、食料価格、資源価格高騰が庶民生活を直撃しているということがあっただろう。これは、「100年に一度の危機」後の景気回復一辺倒の政策を受けた結果であり、その中心が米国の量的緩和、QEだろう。
そんな景気回復一辺倒の政策見直しが求められると、ただでさえ政治的批判の強かったQEの第三弾、QE3はとても無理ということではないか。上述の有力アナリストの判断はそういったものだった。最近にかけて米長期金利は一段の上昇となったが、これはエジプト問題などもきっかけとして、QE3の可能性がなくなったことを織り込む動きといった面もあるかもしれない。

◆米国包囲網がさらに強まるG20
18-19日に予定されているG20財務相会議で、食料インフレ対策が一部で注目されている。食料インフレ対策が注目されるのは、第一に今年のG20ホストをつとめる仏・サルコジ大統領がかねてから強い思い入れを持っていたということがある。それは、最近にかけてのエジプトなど北アフリカでの混乱拡大で一段と強まった可能性がある。
そんなサルコジ大統領が、食料インフレ対策として強く訴えてきたのが商品取引での投機抑制など商品価格高騰の抑制策だ。これにくわえて、注目されているのが、この間先進国が進めてきた景気回復一辺倒の方針における超金融緩和策是正の必要だ。
こういったサルコジ主導のG20の動きを警戒しているのが、資源国・ブラジルと量的緩和を続ける米国など。2月に入り、米ガイトナー財務長官がブラジルを訪問、両国が連携することで合意したのは、逆にいえば、それだけ食料インフレ対策の動きを警戒している可能性をうかがわせる。
ただ、この米国とブラジルの関係も微妙。昨年11月のG20サミットで、米国のQE、ドル安政策を「通貨戦争」として強く批判したのはブラジルだった。サルコジ対策でも、ブラジルとの連携のためにも、米国としてはドル安、QEを封印せざるをえなくなっているのではないか。(了)

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2011.02.17 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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