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エジブト混乱の「最悪シナリオ」とは?

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

イスラエル孤立化による「第五次中東戦争」、そして「第三次石油ショック」――。2月に入ってから小康を取り戻しているものの、原油価格が90ドルを大きく上回るなどマーケットが一時織り込みかけた「エジプト発最悪リスク」としては、まさにそんなシナリオが浮かび上がってくる。

◆第5次中東戦争、第3次石油ショック
ムバラク・エジプト大統領は、1978年のキャンプ・デービッド合意でそれまでの反イスラエル政策の転換を主導したサダト大統領の後継者。そんなムバラク大統領の退陣、後継体制次第では親イスラエル路線変更の可能性が出てきかねない。
1973年の第四次中東戦争を最後にイスラエルとアラブ諸国との間で軍実衝突が起こっていないのは、もちろん上述した1978年のキャンプ・デービッド合意の影響が大きい。その合意が崩壊し、イスラエルの孤立化となれば、中東地域で軍事衝突が再燃し、第五次中東戦争が現実味を帯びかねない。
おり悪く2011年末には、米軍がイラクからの完全撤退を予定している。そのため、依然として世界最大の産油地域である中東の安全保障のバランスはただでさえ大きく崩れかねなかった。そこに、イスラエル対アラブ諸国といった中東最大の軍事衝突リスクを浮上させかねないエジプト混乱が起こったというわけだ。
いったん1バレル=85ドルまで反落していたWTI価格が、一気にこの間の高値を更新して、92ドルまで急騰したのは、1973年の第三次中東戦争を受けた第一次石油ショック、1979年イラン革命を受けた第二次石油ショックに続く、「第三次石油ショック」の織り込みを始めた動きだったのではないか。
2月2日以降の親ムバラク陣営の巻き返しなどから、こういった「エジプト発最悪リスク」はいったん後退し、小康を取り戻した。ただ、今後のポスト・ムバラク体制の展開次第で、「最悪リスク」が甦る可能性も消えてはいないだろう。

◆再燃する米金利上がり過ぎ懸念
エジプト混乱の沈静化で、質への逃避の逆流といった面もあって、米国債が売られ、米国債利回り、米長期金利上昇再燃となった。ただ、短期的には金利上がり過ぎ懸念も強く、さらなる上昇余地が次第に限られる状況になりつつあるといえそうだ。
米10年債利回りは、8日には一時3.8%近くまで急伸した。これにより、90日移動平均線からのかい離率はプラス23%程度まで急拡大した。1980年以降で見る限り、90日線からのかい離率がプラス20%以上に拡大したのは今回が4回目。その意味では、この米長期金利上昇は、上がり過ぎの警戒域を超えてきた可能性があるだろう。
ところで、米長期金利が昨年12月に3.5%以上に上昇した時に、90日線からのかい離率はプラス30%以上に拡大した。同かい離率が、プラス30%前後まで拡大したのは、過去30年間でこれが2回目。その意味では、異常な上がり過ぎの可能性があったわけで、ここで米金利上昇が一服し、その後低下に向かったのも納得できるものだろう。
米10年債利回りの90日線は、11日現在で3.0%。このため、かりに今回も90日線からのかい離率がプラス30%まで拡大するなら、米10年債利回りは4%近くまで上昇する計算になる。それにしても、米10年債利回り3.6-4%は、短期的に上がり過ぎ警戒の強いところといえそうだ。(了)

【参考リンク】
*注1.米10年債利回りの90日移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=3&CODE=USGG10#osatab

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2011.02.14 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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