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2011年の豪ドルを予想する

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

今回は豪ドルの2011年予想について考えてみたいと思います。

◆割高な豪ドルが急落する「条件」とは?
まずは、資料1で購買力平価との関係を点検してみましょう。これを見ると、80円を大きく上回る豪ドル高は、適正水準である購買力平価より10%を大きく上回る割高になっていることがわかります。
こんなふうに、豪ドルが購買力平価より10%以上の割高になるケースが近年増えています。昨年、2010年は一時2割近くまで豪ドル割高が拡大しました。それどころか、2008年には豪ドルは3割もの割高になったのです。
この背景には、世界経済のけん引役を先進国だけでなく新興国が担うことへの要請と、そういった中でのコモディティー、資源価格の上昇といった構造変化の影響もあると思います。その中で、代表的な資源国通貨である豪ドルは割高が拡大しやすくなっているということでしょう。
ただし、昨年も、そして2008年も、そんな豪ドルの割高拡大が一巡すると一転急反落に襲われるということがありました。その意味では、豪ドル割高圏で推移している中では、反落リスクを抱えていることも、つねに頭に入れておく必要があると思います。

<資料1>
20110128_1.gif

では、2割程度以上といった大幅に割高な豪ドルが、1カ月程度という短期間に、やはり2割程度もの急反落となったケースでは、どんな共通点があったかを考えてみましょう。これに当てはまるのは、2008年7月からの豪ドル急落、そして2010年5月からの豪ドル急落といったおもに2つのケースでしょう。
この2つのケースに共通していたのは豪ドルの「買われ過ぎ」でした。資料2を見ると、豪ドルは経験的に買い越しが6万枚以上になると「行き過ぎた豪ドル買い」で、反動が大きくなりやすいのですが、2008年も2010年も、豪ドルが急落に向かった時は、豪ドル買い越しが6万枚前後以上で「買われ過ぎ」の反動も入りやすくなっていました。

<資料2>
20110128_2.gif

◆20年前の日本に類似、中国バブル破裂のXデーとは?!
大幅に割高で、しかも「買われ過ぎ」になっていた豪ドルは、2008年にはリーマンショック、そして2010年には日本のゴールデンウィーク明けのパニック相場に巻き込まれる形で急落に向かったのです。
当面において、パニックが起こらなければ、豪ドルの割高修正も限定的にとどまると思います。ただ私は、中国のバブル破裂の可能性は、パニックのリスクとして要注意ではないかと思っています。
昨年から中国では資産インフレ、不動産バブルへの対策から金融引き締めを急加速していますが、それは約20年前の日本のバブル破裂前夜と似ている面がありますので、予断を許さないのではないでしょうか。
約20年前に日本がバブル発生、破裂に見舞われたのは、元を辿れば1987年10月ブラックマンデー、世界同時株暴落があったと思います。当時世界経済のアンカー役が期待された日本は、金融引き締めへの転換が後手に回り、バブル発生、そしてクラッシュに追い込まれたということでしょう。

<資料3>
20110128_3.gif


2008年9月リーマンショックを前後した世界景気の低迷においてアンカー役が期待されたのは中国でした。そんな中国は20年前の日本のように引き締めへの転換が後手に回った結果が、最近のようなバブル発生の一因だと思います。あとは、日本のクラッシュ、バブル破裂に至ったところまで同じになってしまうのかということです。
日本のバブル破裂は、ブラックマンデーの27カ月後から始まりました。じつは、リーマンショックから27カ月後というと、まさに2010年末、2011年初めということになります。20年の時を隔てて似ている日本と中国ですが、バブル破裂まで似たような展開になってしまうかが、まさに試されるタイミングに入っていると思います。
そしてそれは、豪ドルの割高修正がいつ、どの程度のものになるかも大きく左右するポイントだと思います。(了)

2011.01.28 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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