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ユーロの2011年予想を考える・前編

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

 今回はユーロについての2011年予想を考えてみたいと思います。

◆なぜユーロ危機は昨年一息ついたのか
2010年はギリシャに端を発した欧州財政危機を受けてユーロが急落、ユーロ危機と呼ばれた動きが広がった年でした。資料1のように、ユーロは対ドルで一時1.2ドルまで急落したわけです。
ところが、昨年6月にユーロは反発に転じ、11月にかけて1.4ドルを大きく上回るまで上昇しました。ではこれにより、欧州財政危機でユーロが急落するリスクは終わったのでしょうか。

<資料1>
20110120_1.gif

それを考える前に、そもそもなぜ昨年6月に、欧州財政危機を受けたユーロ危機が一段落となったか振り返ってみましょう。欧州財政危機は簡単に解決しないとされながらも、ユーロ安が一巡、反発に転じたのは、一言で言うとユーロ安もユーロ売りも、「行き過ぎの限界」に達したためだったと思います。
資料2をご覧ください。これは、ユーロドルの90日移動平均線からのかい離率ですが、これを見ると、ユーロドルの90日線からのかい離率は、経験的にマイナス10%が下がり過ぎの限界圏といえそうですが、昨年6月はまさにこのかい離率がマイナス10%まで拡大していたわけです。その意味では、下がり過ぎの限界に達したから、ユーロ危機と呼ばれたユーロ下落も一段落したということでしょう。

<資料2>
20110120_2.gif

次に資料3をご覧ください。これはユーロのポジションですが、昨年5-6月には10万枚以上の売り越しとなっていたことがわかるでしょう。それはかつてないほどの異常な売り越し拡大でした。

<資料3>
20110120_3.gif

それまでは、たとえば2008年9月のリーマンショック前後に4万枚まで売り越し拡大となったのが最高だったのです。それが昨年5-6月には10万枚以上に売り越しが拡大したわけです。それほど欧州財政危機に伴うユーロ危機と呼ばれたユーロ売りが、前代未聞で展開したということではありますが、別な言い方をすると「異常」だったのでしょう。
 欧州財政危機については、ギリシャに端を発し、その後欧州のその他の国にも懸念が広がる中で、「危ない国」の頭文字をとってPIIGS、ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインが取り沙汰される中で、簡単には解決しない根深い問題との見方がほぼ定説となりました。
 にもかかわらず、なぜユーロ安は一服したのでしょうか。それはこれまで見てきたように、下がり過ぎで、異常な売られ過ぎになり、その修正が必要になったからということでしょう。
ところで、これまで紹介した資料2、3を見ると、そんなユーロ安、ユーロ売りの行き過ぎは、最近にかけて修正されたことがわかります。さきほどお話ししたように、欧州財政問題は根深い問題なのにもかかわらずユーロ安が一段落したのは、予想外に欧州財政問題が解決したためではなく、単にユーロ安もユーロ売りも行き過ぎとなって、いったんその行き過ぎを調整しないかぎり持続困難になったためだと思います。
 そうであれば、そんな行き過ぎ調整が一段落すれば、欧州財政問題自体が解決したわけではないので、ふたたびユーロは下落リスクが再燃すると考えるのが当然ではないでしょうか。(続く)

2011.01.20 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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