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2011年の為替相場を予想する・後編

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

前回および前々回のレポートでは、2011年の為替はドル高・円安が先行するものの、その後は今回の円高基調における第5幕が起こり、それが早ければ2011年中に、遅くとも2012年前半に70円台で決着すると考えていることを説明しました。今回は円高完了の仮想シナリオについて述べてみたいと思います。

◆「時代遅れのドル安」完了シナリオその2=協調介入
円高完了「仮想シナリオ」として、協調介入がドル底入れのきっかけになる可能性を考えてみます。米オバマ政権は、景気回復のためにドル安政策をとって通貨戦争を仕掛けているとの見方からすると、米国がドル買い介入に動くことは考えにくいかもしれません。
米国自身は、ガイトナー財務長官を筆頭に、円やユーロなど先進国通貨に対してドル安を求めているわけではないといった主旨の発言を繰り返しています。中国の人民元など新興国通貨に対するドル安は必要だが、先進国通貨は違うという意味です。
ただそういった言葉が理解されないためか、為替相場が過度に変動したり無秩序な動きになったりしたときは、「注視する」とこれまでもG7などは共同声明でけん制してきました。それを、昨年10月のG20声明では、「監視する」へ変更したのです(資料9参照)。

<資料9>
20110113_1.gif

この「注視する」は、英語の原文では「monitor」です。これに対して、「監視する」は「vigilant」になります。この「monitor」から「vigilant」への変更を、ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁はかつて意識的に使いました。前者はあくまでけん制でしたが、ECBは利上げのハラを固めたため実力行使を意味する後者に変更したのです。
G20が実力行使のハラを固めるというのは、円など先進国通貨に対して一段とドル安が進んだ場合の協調ドル買い介入ということでしょう。資料10は先進国通貨に対するドルの総合力を示す「メジャーインデックス」、そして資料11は新興国通貨に対するドルの総合力を示す「OITPインデックス」です。

<資料10>
20110113_2.gif

これをみると、たとえば95年を基準に見ると、円など先進国通貨に対しては一段とドル安になっているのに対し、新興国通貨に対してはむしろドル高になっています。先進国通貨に対してドルは十分安くなっているが、新興国通貨に対してはドル安になっていないという米国の言い分と辻褄が合うでしょう。
そんなふうに、「もう十分」といっている円など先進国通貨に対してドルが一段安となる「過度な変動、無秩序な動き」が起こったら実力行使、つまり協調介入が実現する可能性があるでしょう。それは、「時代遅れのドル安・円高」が幕をおろすきっかけになるものだと思います。(了)

<資料11>
20110113_3.gif

2011.01.13 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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