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2011年の為替相場を予想する・中編

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

前回のレポートで、2011年の為替はドル高・円安が先行する展開になると考えていることをお話しました。では、昨年11月の80円でドル安・円高が完了したかといえば、そうではなく、ドル高・円安一巡後は、今回の円高基調の第5幕に向かうと考えています。

◆未曾有の米財政赤字が示唆する「未曾有のドル安」
もしもあの80円で、2007年6月の124円から展開してきた円高・ドル安トレンドが終わったとすると、今回の円高・ドル安は、3年5カ月で、ドルが約35%の下落で完了したことになります。
かつて、1995年にかけて一時80円割れまで円高・ドル安が進み、「超円高」と呼ばれた局面は、円高・ドル安が5年で約50%も進んだわけですが(資料4参照)、今回はそれには大きく及ばずに円高が完了したのでしょうか。

<資料4>
20110111_1.gif

ただ、前回、米金利を説明した未曽有の米財政赤字は、ドルにとっても示唆的です。資料5は、米財政収支とドル実効相場を重ねたものですが、このように見ると米財政収支はドルそのものです。ということは、未曽有の財政赤字は、「未曽有のドル安」を示唆していることになるわけで、簡単には終わらなさそうです。
それでは、過去20年間で、最悪の円高・ドル安、「超円高」並みに、今回も5年続いて、ドルが半値になるのでしょうか。そうだとしたら、2012年半ばにかけて60円台まで円高・ドル安は終わらないということになるわけですが。

<資料5>
20110111_2.gif

ところで、ドルは基本的に米経常収支の循環に2―3年のタイムラグを置いて一定の相関性があります。簡単な言い方をすると、米経常収支悪化に歯止めがかかってから、2―3年後にドルは底入れするのが基本です。
じつは、資料6のように、米経常赤字(対GDP比率)拡大は、2006年初めに底入れしました。それから2―3年程度でドルが底入れするということでは、対ユーロでドルがこの間の底値をつけた2008年で、じつは大きなドル安トレンドは完了した可能性があるわけです。

<資料6>
20110111_3.gif

その意味では、我々が見ている対円でのドル安は、「真のドル安」完了後の「遅れたドラマ」なのかもしれません。ドル円が、ドルの真の潮流に気付かないということはこれまでも珍しくありませんでした。しかしそんな「時代遅れのドル安」が続くのも、自ずと限度があるのではないでしょうか。

◆「時代遅れのドル安」完了シナリオその1=米利上げ
では、本当に対円でのドル安が「時代遅れ」だとして、それが完了し、ドル高・円安へ転換するのはどんなシナリオが考えられるでしょうか。私は、①米利上げ、②協調ドル買い介入、といったおもに2つがドル安完了のきっかけになるのではないかと考えています。
まずは、米利上げとの関係を考えてみますが、そもそも米利上げ開始はいつになるでしょうか。依然として失業率の高止まりが続いている中では、利上げを具体的にイメージするのは難しいというのが本音です。
ただ、過去の景気底入れから利上げ開始までのパターンをみると、だいたい景気底入れから2年半から3年で利上げが始まっていたのです。それを今回に当てはめると、2011年末-2012年初めにも利上げが開始される見通しとなるのです。

<資料7>
20110111_4.gif

ところで、過去のパターンをみると、ドルは利上げが始まってから上がるものではなく、むしろ利上げを先取りして、利上げ開始前から上がり、利上げが実際に始まるといったんは下がるのが基本です。
たとえば、資料8は1999年6月から米利上げが開始された際のドル円の推移を見たものですが、ドルは利上げ開始前の約半年で15%程度上昇し、利上げが実際に始まるといったんは反落に向かっていました。
今回の場合、米利上げへの転換が2011年末-2012年前半になるとして、それより半年程度前からドル高が始まるなら、早ければ2011年後半にドル安・円高は完了し、ドル高・円安へ転換する可能性があるわけです。(後編へ続く)

<資料8>
20110111_5.gif

2011.01.11 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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