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年末年始相場はどう動くか・後編

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

 前回は、11月からのドル高のきっかけになった米金利上昇が、この先もまだ続くかについて考えてみました。結論をいうと、私はむしろこれまで以上に、米金利は上がりやすくなっていると思います。

◆米金利上昇は4%以上に向かう?!
 米金利の動きの中で、最近目立っていることの一つは短中期金利と長期金利の差の拡大です。たとえば、2年債利回りと10年債利回りの差は、最近にかけて2.8%前後まで拡大しました。
 この2年と10年の利回り差は、今年春にかけてやはり3%突破寸前まで拡大しましたが、その後はいったん2%以下へ縮小しました。それがここに来て急ピッチで再拡大してきたのです。この利回り差は、基本的に3%以上に拡大したことがありません。ではそんな未踏の領域に、金利差は拡大していくのでしょうか。
 ところで、資料1はそんな米2年債と10年債利回りの差に、米財政収支のグラフを重ねたものです。両者は一定の相関関係があることがわかるでしょう。そしてそんな相関関係からすると、米財政赤字が未曽有の拡大になっていることで、この利回り差もこの間の上限3%を大きく超えていくといった見通しになっているのです。

<資料1>
20101230_01.gif

 ちなみに、米財政赤字からすると、2年債と10年債の利回り差は4-5%まで拡大する見通しになっています。現在0.6%程度で推移している2年債利回りがかりに1%まで上昇したとして、利回り差が4-5%になるなら10年債利回りは5%以上になる計算です。巨額の米財政赤字がある中では、米長期金利は4%を大きく上回っていく見通しの中にあるわけです。
 こんなふうに見てくると、むしろなぜ巨額の米財政赤字がある中でも、11月にかけて一時米長期金利は3%を大きく下回るほどの大幅低下となったのか、そちらの方が「謎」ともいえるでしょう。財政赤字からすると、大幅に上昇してもおかしくない米金利が、逆に大幅な低下になったのはなぜか。
 そんな「謎の米金利低下」をもたらしたのは、今年夏にかけて急浮上した米景気の「二番底」懸念やデフレ懸念でした。そしてそれが浮上した根本をたどると、それは欧州財政危機、ユーロ危機に辿り着くでしょう。

<資料2>
20101230_02.gif

 資料2は、NYダウとユーロの対米ドル相場のグラフを重ねたものですが、4月まで順調に上昇していたNYダウが、4月後半からユーロ安に引っ張られる形で急落に向かったことがわかるでしょう。その後は、最近までユーロと米株は不気味なほど重なり合う展開が続いてきたのです。
 このように見ると、巨額の財政赤字の中でも起こった「謎の米金利低下」の演出者は、ユーロ危機だったということになるでしょう。では、ユーロ危機が続く中では、米金利も大幅上昇は起こらないのでしょうか。
 しかし、もう一度資料2をご覧ください。これを見ると、ユーロと米株の相関関係がこのところ大きく崩れ始めていることがわかるでしょう。不気味なほどユーロに支配された米株の動きは変わり始めました。最近、欧州財政危機、ユーロ危機は再燃の兆しがありますが、それを尻目に米株は堅調な推移となっているわけです。

 ここまでのところを少し整理してみましょう。巨額の米財政赤字の中では、米金利は急騰してもおかしくないはずでした。しかしむしろ「謎の米金利低下」となった。それをもたらしたのはユーロ危機だった。
 ただ、そんなユーロ危機の影響力も変わり始めてきた。そうであるなら、米金利は大幅上昇リスクが再燃する可能性もあるだろう。11月から続いてきた米金利の上昇がそういった背景の下で展開しているのなら、米長期金利が4%を大きく超えて上昇に向かう可能性が残っているのではないか。

 私は、11月からのドル一段高の一因が米金利上昇であり、それが続くかどうかをこれまで考えて来ました。以上からすると米金利上昇はまだ続きそうなので、しばらくドル高になる可能性があると思うわけです。(了)

2010.12.30 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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