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米国にも不可欠なユーロ危機再燃回避

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

ユーロ危機再燃への懸念が広がり始めたが、これを苦い顔で見つめている一人がバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長かもしれない。なぜなら、4月頃まで出口政策を模索するまで回復した米景気を、一転して追加緩和が必要な「二番底」懸念に豹変させた主犯こそが、ユーロ危機だったからだ。

◆ユーロに翻弄されてきた米株
FRBが、今年4月頃までいったん出口政策を模索していたといっても、にわかに思い出せる人は少ないかもしれない。それほど、その後一転して景気の「二番底」懸念が拡大し、米経済のデフレ転落懸念も浮上するといった楽観論から悲観論への転換は、急激で大きなものだった。
しかし、実際にこの4月にかけて、米金利市場は一時夏頃の米利上げを織り込む動きとなっていた。その早期利上げ観測を吹き飛ばし、利上げどころか景気の二番底とデフレ化を回避するために追加緩和に追い込まれるところとなった一番の原因は、6月初めにかけて悪化のピークに向かった欧州財政問題を受けたユーロ危機だっただろう。
ユーロの対米ドル相場とNYダウのグラフを重ねてみると、4月まではまったく別々の動きだったのが、4月下旬から一気に相関性が高まり、その後は一定の相関関係が最近まで続いてきたことがわかる。出口政策を模索するまで順調に回復した米景気を、「二番底」懸念へ暗転させるなど、今年の米経済とその守護神という立場にあるFRBは、ユーロに翻弄されたともいえるだろう。
その意味では、ユーロ危機第二幕本格化の回避は、欧州だけでなく、米国、FRBも強く意識しており、だからこそ第二幕は、第一幕と単純に同じ展開ではなくなっていくのではないか。

◆「荒れる師走相場」、今年は?
12月が始まった。12月は、値幅でみると、ドル円が一年で二番目に、ユーロドルは一番目に大きい。「一年で最もよく動く」月の一つだけに、年内最後の一波乱は要注意だろう。
12月のドル円値幅平均は6円。これは、3月の6.4円に次いで、一年12カ月の中で二番目に大きい。その意味では12月は、ドル円が一年で二番目に大きく動く月だ。
ではユーロドルの場合はどうか。ユーロドルの12月値幅平均は684ポイント(0.0684ドル)で、第二位の1月(633ポイント)を大きく上回るトップだ。このようにみると、12月に大幅な値動きになるというのはドル円に限ったことではなく、為替全般について当てはまる話のようだ。
では、なぜ12月の値幅は拡大しやすいのか。一つは薄商いのために、荒い値動きになりやすいということだろう。欧米市場を中心に、12月は中旬過ぎから実質的にクリスマス休暇入りとなり、取引は大きく縮小するのが普通だ。この結果、例年12月上中旬に行われる年内最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)を前後し、荒い値動きになることは少なくない。
12月相場のもう一つのヤマ場は、クリスマス休暇明けのタイミングで起こることが少なくない。欧米市場参加者中心に、実質的に新年相場を先取りし、大きくポジション・テークに動くためだ。今年の為替相場は、対ドルで円高が最高値更新寸前まで進んだほか、「ユーロ危機」が拡大するなど荒い展開となったが、「荒れる師走」にもう一波乱が起こる可能性は要注意だろう。(了)

【参考リンク】
*注1.リスクプレミアム・TEDスプレッド
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=M&mht3=2&CODE=TEDSPD#osatab

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2010.12.02 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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