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「乱高下通貨」ユーロの「年末の癖」

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

先週半ば以降、ユーロが反発に転じている。そもそも11月はユーロ高になりやすい月で、ユーロ安は小幅にとどまる傾向がある。そんな「ユーロの癖」からすると、今月末のユーロが1.35ドルを割り込んでいる可能性は非常に低いということになる。

◆年末のユーロは下がりにくい、今年は?
欧州統一通貨、ユーロが誕生した99年以降の11月騰落状況は7勝4敗(ユーロ対米ドル)。また、11月の寄り付きから引け値を引いた月足チャートの実体幅は、ユーロ陽線(ユーロ高)の平均が297ポイントもの大幅なのに対し、ユーロ陰線(ユーロ安)の平均は186ポイントにとどまっていた。こういったことから、11月のユーロには、ユーロ高なら大幅に、ユーロ安なら小幅になる「癖」があることがわかる。
この背景には、12月決算が近付く中で、欧州企業によるユーロ買い・米ドル売り需要が集中することの影響が大きいということなどがあると見られている。このようなまとまったユーロ買い・ドル売り取引があるだけに、ユーロ高は加速し大幅になりやすく、ユーロ安の動きも落ち着くと縮小しやすいと考えられる。
さて、今月のユーロドル寄り付きは1.39ドル半ば。欧州財政危機再燃の様相から、その後ユーロ一段安となり、どうやら今年の11月はユーロ安のままで終わる可能性が今のところ高そうだ。ただ過去のユーロ陰線実体幅の平均は、上述の通り186ポイント(0.0186ドル)だから、確率的には今月末は1.375ドルよりユーロ安になっている可能性は低いということになる。
このように経験的には「ユーロ高になりやすい11月」なのに、異例の大幅なユーロ安となったのは99年だった。この年のユーロ陰線実体幅は455ポイント(0.0455ドル)。その意味では、今月末に仮にユーロが1.35ドルを大きく下回って終わるようだと、「過去最大の11月ユーロ安」ということになるわけだが、別な言い方をするとそれだけ確率的には低いシナリオということになるだろう。

◆「乱高下通貨」が常態化したユーロ
ところで、そんなユーロドルの月間平均値幅は、2007年までは400-500ポイントだった。これはドル円にたとえるなら4―5円ということで、月間平均値幅はユーロドルとドル円はほぼ同じだった。ところが、「リーマンショック」など金融危機が起こった2008年から、この値幅は急拡大した。ユーロドルの月間平均値幅は、2008年は何と915ポイント、そして2009年も748ポイント、今年も10月までの段階で747ポイントもの大幅となっている。
2008年以降、値幅が拡大したということではドル円も同じだったが、それでもドル円の月間値幅平均は、2008、2009年とも600ポイント(6円)台にとどまっていた。さらに今年は、10月までの段階で400ポイント台へ縮小している。2008年以降の値幅拡大傾向の中で、ユーロドルとドル円は大きく差がついた形になっているわけだ。
これは、年間の変動幅で比較してみても同じ。ユーロドルの年間変動幅は、2008年3691ポイント、2009年2629ポイント、2010年(10月末現在)2704ポイントと推移している。「ユーロ危機」となった今年の変動が特別に大きいわけでなく、この3年間、毎年、ドル円にたとえるなら年間30円前後のレンジでの乱高下を繰り返してきたわけだ。ドル円の年間変動幅が2008年こそ24円に拡大したものの、2009年、今年と20円未満にとどまっていることを考えると大きな差がついている。
主要通貨で流動性が豊富な上に、ボラティリティーも高いユーロドルは、自国通貨ウォンの取引が規制されている韓国のFX、個人投資家の為替取引においてはナンバー1の人気通貨ペアのようだ。「乱高下のユーロ」というのが、金融危機のはざ間での一時的現象なのか、それともまだしばらく続くのか、注目されるところではある。(了)

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2010.11.22 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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