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米金利上昇シナリオを考える

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

FOMC(米連邦公開市場委員会)が米国債購入を決定すると、逆に米国債相場は反落し、利回りは上昇に向かった。FOMC終了後2.5%だった米10年債利回りは、10日程度で2.7%を超えて来た――。これは、11月FOMC後の米金利の動きを説明したものではない。2009年3月FOMC後の米金利の動きを説明したものだ。

◆米国債購入決定後の金利上昇アナロジー
そんなふうにあらためて確認が必要なほど、今回のFOMC後と2009年3月FOMC後の米金利の動きは似ている。ここまで似ているから、この先も似た展開が続くだろうか。ちなみに、2009年3月FOMCで米国債購入が決まった後、米長期金利は約10日で2.7%に到達し、そして一カ月余りで3%の大台を超えた。さらにFOMCから3カ月後には4%目前までの米長期金利上昇となったのである。
仮に今回も同じように動くなら、米長期金利は12月中旬には3%の大台を突破し、そして来年2月にかけて4%まで続伸するといったシナリオになる。
ところで、2009年3月FOMC後に米長期金利が3カ月の大幅上昇に向かったのは、株価が上昇した影響もあっただろう。「100年に一度の危機」におけるNYダウ暴落は2009年3月初めで大底を打ち、この2009年3月中旬に行われたFOMCの決定を受けていよいよ反転上昇の流れが確実になった。こういった株高に伴うリスク回帰の動きも、安全資産とされる米国債価格反落、利回り上昇を後押ししたと考えられる。
この点は今回の場合どうだろうか。すでにこれまで株価も上昇が続いていたため、ここから一段とリスク回帰が起こるかは微妙だろう。ただし、株高の割には、安全資産、米国債が「買われ過ぎ」になっていた感じもあっただけに、その修正で利回り上昇がどこまで進むかは予断が許さないところだ。

◆2011年末の米利上げシナリオ
ところで、2009年3月安値からの株価反発率はすでに7割にも達している。前回、2004年の利上げも、前々回、1994年の利上げも、NYダウが安値から4-5割反発したところでの実行となったことからすると、いつ利上げしてもおかしくないわけで、それどころか逆に今回のように追加緩和すると批判が出るのは当然ではある。
ただし、金融政策を株価だけで判断するということは普通ない。利上げ判断の前提は、基本的には失業率になる。ところで、その失業率が頭打ちになったのは今回の場合は2009年10月だった。前回、前々回利上げでは、失業率の頭打ちから12-20カ月後に利上げが実行されていた。これを今回に単純に当てはめると、利上げ実行時期は2010年10月-2011年6月と想定されるため、これまたいつ利上げが行われてもおかしくないということになる。
ただ今回の場合、景気底入れから失業率の悪化一巡までの期間が、これまでに比べてかなり早かったということはある。従って、失業率の頭打ちから利上げまでの期間を参考にするのではなく、景気底入れから利上げまでは大体3年弱かかっていたということを参考にすれば、今回の利上げも早くても2011年末以降ということになるから、決してまだ極端に利上げが近いということではないだろう。
このように景気底入れや失業率悪化一段落から利上げへの転換を考える方法以外では、より直接的に失業率の水準から利上げを判断するといった考え方もある。この場合、FEDウォッチャーたちの基本的な考え方は、利上げを行うためには最低でも失業率が9%に低下する必要があるというものだろう。
では、FOMCが公表している見通しでは、失業率9%割れはどんなタイミングになっているかといえば2011年末までというのが基本だ。その意味では2011年中に利上げへ転換する可能性はありそうで、少なくともさらなる緩和はどんどん難しくなりそうだ。(了)

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2010.11.18 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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