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11月末85円というシナリオ

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

ドル反発が拡大してきた。ところで、この数カ月はドル安・円高が続いてきたが、経験的に長く続いたドル安の後のドル反発は一カ月で4-5円もの大幅になりやすいだけに、月後半にかけてさらなるドル一段高の可能性も注目される。

◆連続ドル安一段落後は5円のドル高
ドルは対円で10月まで6カ月連続の陰線(ドル安)引けとなっていた。ところで、今回と同じように半年以上ドル陰線引けが続いたのが、1995年以降では2回あったが、この過去2回の連続ドル安一段落後はともにドル急反騰となっていた。
たとえば、ドル陰線引けが7カ月連続で一段落した直後の2000年1月の値幅は6.15円、陽線の実体幅も5.13円となった。また、ドル陰線引けが6カ月連続で一段落した後の2004年2月の値幅は4.68円、陽線の実体幅も3.49円となった。
今月のドル寄り付きは80.34円で、これまでのドル安値は80.21円。このため、過去2回のように、連続ドル安一巡後のドル高が、値幅で4.68-6.15円、陽線の実体幅が3.49-5.13円ものそれぞれ大幅になるなら、今月のドル高値は85-86円程度となり、引け値も84-85円程度といった具合に、現在の水準より一段とドル高になる計算となるが、果たしてどうか?

◆米長期金利は3% を越えていくのか
そんなドル高の鍵を握る米金利の上昇が広がってきた。景気指標と比べるとかなり「下がり過ぎ」になっていた可能性があり、米長期金利も本来なら3%を大きく上回る動きになってもまったくおかしくないところだろう。
代表的な米景気指標であるISM(供給管理協会)製造業景況指数と米長期金利の間には一定の相関関係があるが、それがこの数カ月は大きく崩れた形となっていた。ISM指数からすると、米長期金利は4%以上で推移していてもおかしくないのが、実際には3%を大きく下回った水準で推移していたわけだ。
このように景気指標と比較して、米金利が極端な「下がり過ぎ」になっていたのは、空前の金融緩和が続いていることが一因だろう。ただ、このような空前の金融緩和は、さすがに景気回復を一段と進めるものとなり始めているようだ。
NYダウは、2009年3月の安値からすでに7割も上昇している。これまでの場合なら、ダウが安値から4割以上の上昇となったところで引き締めへの転換が行われるのが普通だった。ましてや7割も上昇すると、複数回の利上げとなっていてもおかしくないだろう。ところが、今回は引き締めどころか、むしろFRB(米連邦準備制度理事会)は11月にさらなる追加緩和に踏み切った。
こんなふうに異例の緩和局面が続く中で、景気を基本的に先取りする株価の上昇が続いているわけだから、それを後追いする形で景気が一段と回復に向かう可能性があるだろう。そういった景気を示す指標に対して、今でも極端な「下がり過ぎ」となっている米金利。そんな行き過ぎた米金利低下も、さすがに持続困難な条件が揃ってきたということではないか。(了)

【参考リンク】
*注1.米10年債利回りの90日移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=3&CODE=USGG10#osatab

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2010.11.15 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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