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ドル上放れの予兆なのか

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

ドル円はここ数カ月記録的な小動きが続いてきた。だからこそ、経験的にはそろそろ大きく動き出すタイミングが近付いている。「嵐の前夜」といえるかもしれない。

◆ドル円は「嵐の前夜」か
ドル円の月間値幅は10月まで4カ月連続で3円台の小幅となった。こんなふうに月間値幅で4円未満の小幅が4カ月続いたのは2000年以降では今回で4回目。そして、これまでの3回は、5カ月目のドル円値幅が一気に5円前後へと大幅に拡大していた。その意味では、今回の場合も、そろそろ膠着相場も限界に近付き、充満したエネルギーが噴き出すことで大相場になるタイミングが近付きつつあるのかもしれない。
それでなくとも、本来的に11月は値幅が大きくなりやすい月。2000年以降のドル円11月平均値幅は5.1円で、これは3月、12月に続き一年で3番目の大幅だ。別な言い方をすると、11月は「一年で3番目によく動く月」というわけだ。
そんなふうに一年の中でもよく動く、11、12月に入る中で、これまでのところ今年のドル円値幅は記録的な小動きになっている。10月までの平均値幅は4.1円で、このままでいくと2000年以降の最小値幅である2005年の4.1円を下回り、「最も小動きな年」となりかねない。
以上を総合すると、このまま小動きで一年が終わるのではなく、「最後の一波乱」が起こる可能性は要注意だろう。過去3回と同じように、4円未満が4カ月続いた後は一転して5円前後へ値幅が急拡大するなら、今月は一気にドル高なら85円、逆にドル安なら75円へ急接近する可能性さえ秘めているということになるが、果たしてどうか?

◆ドル・キャリー逆流のインパクト
注目される方向だが、まずはドル反発の動きになっている。この間、ドルは「売られ過ぎ」懸念が目立っていただけに、その反動が本格化するなら、経験的には5%前後のドル反発を想定する必要がありそうだ。
米ドルのポジションは、CFTC(米商品先物取引委員会)統計を参考にした試算では、10月初めにネット・ショート(売り持ち)が17万枚以上に拡大し、経験的にはかなり「売られ過ぎ」懸念が強くなっていた。この背後では、米政府のドル安容認と米金利低下を受けて、安く調達したドルを売って高い利回りで運用する、「ドル・キャリー取引」の拡大も影響していたと考えられた。
ところで、このようなドル・キャリー取引の「弱点」は、調達通貨の金利上昇と運用先の相場の下落だ。11月5日の米10月雇用統計がいわゆる「ポジティブ・サプライズ」になったことで、米金利は短中期物も上昇が目立ち始めた。この結果、ドル資金調達コスト悪化に伴い、ドル資金を返済するためのドル買い戻しで、この間のドル「売られ過ぎ」の修正が拡大していると考えられる。
ところで、ドル「売られ過ぎ」修正が本格化した時の、ドル反発はどの程度になるのか。経験的には対円でも、対ユーロでも5%前後のドル反発が基本といえそうだ。この間のドル安値は80.2円、1.428ドル程度だから、ドル反発が5%程度に拡大するなら、84円、1.35ドル程度までドル反発が続く計算になるが、果たしてどうか?(了)

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2010.11.11 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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