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円高ロングランの「終わり方」

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

ドルが対円で10月まで6カ月連続の陰線引けになるといった具合に、ドル安・円高が記録的なロングランになっている。経験的には、これだけ長く続いたドル下落が一段落した直後は、ドルは一カ月で4円前後もの陽線引けになるといった具合に急反騰が起こりやすいようだが、果たして今回はどうか?

◆一カ月で4円以上のドル急反騰が起こる
95年以降で調べたところ、ドル陰線引けの連続記録は、1999年6-12月の7カ月連続が最長で、それに続いたのは2003年8月-2004年1月の6カ月連続だ。今回、5月から10月まで6カ月連続でドル陰線引けとなっているが、このように過去15年間では第2位のドル安ロングランになっているわけだ。
ところで、過去のドル安ロングランが一段落した直後の展開はどうだったかを調べたところ、上述の2回ともドルは急反騰となっていた。たとえば、7カ月連続陰線引けとなった直後の2000年1月は5円以上のドル陽線引けとなっていた。また、6カ月連続陰線引けの後の2004年2月も3.5円のドル陽線引けとなっていた。これを参考にするなら、今回の場合も、ドル安ロングラン一服後は一カ月で4円前後のドル急反騰が起こる可能性があるわけだ。
こんなふうに、半年以上も続いた一方向への展開が一息ついた後は、逆方向に大きく反動が入るというのは、中長期の基調の最終局面で当てはまることなのかもしれない。たとえば、ドル陽線引けの連続記録は、95年から96年にかけてと、2000年から2001年にかけての2回、7カ月連続というケースがあった。これはともに数年間のドル高・円安基調開始の序盤に起こったものだったが、陽線連続記録が一段落した翌月は2円前後の陰線引けだった。
これに対して、先に見てきた連続陰線引け後のドル陽線幅は一カ月で4円前後にも達したが、これは数年間続いたドル安基調の最終局面で起こったものだった。今回の場合は、2007年から続いてきたドル安・円高基調の中だけに、その意味でも月足連続記録一段落後の反動は大きくなりそうだが、果たしてどうか?

◆ユーロ高のクライマックス
ユーロが対米ドルでこの間の高値を更新する展開となってきた。ただ短期「上がり過ぎ」の懸念、さらに「買われ過ぎ」の懸念も強まり始めているだけに、このままユーロ高が広がるかは微妙ではないか。
ユーロが1.42ドルを越えてきたことで、90日移動平均線からのかい離率はプラス8%程度に拡大してきた。過去10年間で同かい離率がプラス10%以上に拡大したことがないことからすると、これはかなり短期上がり過ぎ懸念が強くなっていることをうかがわせるものだ。
また、CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、ユーロのポジションは10月以降ネット・ロング(買い持ち)が4万枚以上で推移している。かつては、ユーロのネット・ロングが10万枚前後に拡大したこともあったが、2008年以降は5万枚を大きく越えたことがない。その意味では、徐々に「買われ過ぎ」懸念も拡大しているといえそうだ。
ところで、ユーロドルの適正水準の目安である購買力平価は現在1.19ドル程度。このため1.42ドルよりユーロ高になると、購買力平価よりユーロが2割以上の割高になってくる。経験的に購買力平価より2割以上のユーロ割高が長期化すると、欧州の景気回復に水を差す懸念が強まる。
年央にかけての「ユーロ危機」から回復したとはいえ、まだ財政懸念などがくすぶり続けるといった意味では「病み上がり」のような欧州経済にとって、ユーロ割高の状況が広がることは、政策当局者たちにとっても気になるところではないか。(了)

【参考リンク】
*注1.ユーロのポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=EUR#osatab

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2010.11.08 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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