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米金利低下・ドル下落転換の予兆

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

米国の長短金利差縮小が一巡した可能性が出てきた。経験的に、この長短金利差縮小の一巡は、米長期金利下がり過ぎ修正に先行しやすい。その意味では、米長期金利の下がり過ぎ修正が始まりつつある可能性がありそうだ。米長期金利は、この間ドル相場と連動性が強かったため、ドル安の転換を考える上でも注目されるところだ。

◆米金利下がり過ぎ修正の「先行指標」
米2-10年債利回りスプレッドは、10月6日に2.01%で縮小が一巡し、13日には2.06%まで拡大した。9月中旬から続いてきた同スプレッド縮小が一巡した可能性が強まってきたわけだ。
ところで、同スプレッドは、8月26日に一時2%割れまで縮小したが、そこで縮小一巡となった。それから3営業日後の8月31日に、米10年債利回りは2.46%で底打ちとなると、その後9月10日にかけて2.8%程度まで急反発となった。
こんなふうに、長短スプレッド縮小の一巡は、金利低下底打ちに先行する傾向がある。これは、金利低下が続く中で、期待インフレ率の高まりにより、長期金利から上昇しやすくなるといった意味では理解しやすいところだ。
ここに来て長短金利差縮小が一巡し、小幅ながら拡大が再開しているのは、米追加緩和期待に対する反応が長期金利を中心に鈍くなり始めているためだ。NYダウが年初来最高圏まで上昇していることも、金利低下の反応が鈍くなっている一因だろう。
さて、そんな米長期金利は、この間ドルと連動する展開が続いてきた。米長期金利の下がり過ぎ修正が始まるなら、それと連動して続いてきたドル下落もいったん上昇へ転換する可能性は注目される。

◆11月米追加緩和「小幅化」の可能性
11月FOMC(米連邦公開市場委員会)で期待されている追加緩和が「小幅」にとどまるとの見方が出てきた。ドル安、株高、そして中国人民元上昇などを見ながら、FRBは追加緩和を「小幅化」する可能性が出てきた。
11月FOMCでは、米長期国債購入による追加緩和が決まるとの見方が強い。ところでこの購入額については、一時は1兆ドルから2兆ドルもの規模に達するとの見方も浮上した。しかしここに来て、購入額が5000億ドル-1兆ドル未満にとどまる、または購入総額を明示しないといった具合に、追加緩和の規模が「小幅化」するとの見方も囁かれ始めた。
この背景には、すでに追加緩和を織り込む形で金融市場が大きく動いている影響があるだろう。前回、9月FOMC前のユーロドルは1.30ドル程度だったが、最近は1.40ドルを超えるなど大きくドル安・ユーロ高となった。また、NYダウ平均株価も9月FOMC以降に一段高となり、最近は年初来最高値更新含みの展開になってきた。こういった中で実際に大幅な追加緩和に踏み切ると、むしろドル急落を引き起こしかねない懸念も出てきた。
もう一つの鍵を握りそうなのが、中国の動向。前回G20会議直前に人民元弾力化を決定した中国だったが、その後も人民元は上昇力の鈍い展開が続いていた。しかしここに来て、次回G20が迫る中で人民元上昇の兆しが出てきた。人民元高・ドル安は、追加緩和の必要性を後退させる要因でもある。(了)

【参考リンク】
*注1.米10年債利回りの90日移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=3&CODE=USGG10#osatab
*注2.NYダウの90日移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=4&CODE=INDU#osatab

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2010.10.18 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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