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ドル安・ユーロ高の転換点

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

米ドルが、次第に「売られ過ぎ」気味になってきた。経験的に、米ドルの「売られ過ぎ」ピークは、ユーロ高・ドル安のピークと一致するため、米ドル売り、ユーロ高・ドル安がともに反転する可能性が注目されそうだ。

◆「売られ過ぎ」になってきたドル
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、米ドルのポジション(非米ドル主要5通貨のポジションから推計)は、9月第3週で10.9万枚のネット・ショート(売り持ち)となった。ネット・ショートが10万枚を超えたのは8月第1週以来だ。
ところで、この8月第1週に10万枚を越えたところで米ドルのネット・ショート拡大が一巡し、その後、縮小に転じた。その中で、ユーロも8月上旬の1.33ドルで一巡し、その後は1.26ドルへ反転に向かったのである。こんなふうに、少なくとも2009年以降でみるかぎり、米ドルのネット・ショート拡大は10万枚を超えてから3週間以内に一巡した。そしてそれは、ユーロ高・ドル安一巡のタイミングとほぼ一致してきた。
こういった経験則からすると今回の場合、米ドル売りは遅くとも10月中旬までに一巡し、それに連動する形でユーロ高・ドル安も一巡し、反転する見通しになるわけだ。こんなふうに、ドル売りとユーロ高・ドル安の反転のタイミングが一致しやすいのは、ドル売りの中核が基本的にユーロ買いだからだろう。今回の場合も、ドルのネット・ショートが拡大する一方で、ユーロはネット・ロングが昨年10月以来の規模に拡大している。
このようなドル売り・ユーロ買い拡大の背景には、米追加緩和期待を受けた米金利低下ということがある。それ自体に行き過ぎ懸念があるが、ドル売り・ユーロ買い転換の鍵を握る一つであることは間違いないだろう。

◆欧州信用リスクからはユーロ「買われ過ぎ」
ところで、8月まで、ユーロの動きは、欧州の信用不安の推移と強い相関性があった。「欧州信用悪化=ユーロ安」、「欧州信用改善=ユーロ高」といった関係だ。
たとえば、欧州の信用動向を示す指標の一つである欧州CDS指数が最も悪化したのは6月上旬だが、このタイミングでユーロは1.18ドルまで売られた。一方、その後の欧州CDS指数改善のピークは8月上旬であった。このタイミングで、ユーロは1.33ドルまで買われた。
さて、欧州CDS指数は現在、この間の改善のピークとなった8月上旬よりは悪化した水準にある。にもかかわらず、ユーロは8月上旬の高値である1.33ドルを大きく上回る1.35ドル以上の水準で推移している。これは、米金融緩和観測などを受けたドル安のせいで、欧州信用不安に対する反応が鈍感になっているためであろう。別の見方をすれば、欧州信用懸念の割にユーロは「買われ過ぎ」の可能性があるだろう。
ちなみに、欧州CDS指数が最近と同じ110ポイント前後を推移していた9月初めのユーロ相場は1.3ドルを下回っていた。その意味では、欧州信用不安からすると、そもそも1.3ドル以上のユーロ高は、「過大評価」の可能性もありそうだ。(了)

【参考リンク】
*注1.ユーロのポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=EUR#osatab


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2010.10.07 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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