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試されるユーロ・オセアニア通貨の買い

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、投機筋のユーロ・ポジションが先週にかけて、今年に入り初めてネット・ロング(買い持ち)に転じてきた。今年に入って欧州財政懸念が広がる中で投機筋がユーロ買いリスクをとらなくなっていた。ところが、それが変化し始めたということのようだが、一方で欧州財政懸念はなお変わらずくすぶり続けているだけに、それを無視した形のユーロ買いリスク・テークには、行き過ぎの懸念もありそうだ。

◆ユーロの「欧州不安離れ」
CFTC統計によると、投機筋のユーロ・ポジションは、先週にかけて今年初めてのネット・ロングに転換してきた。ユーロのポジションがネット・ロングとなったのは、昨年12月初め以来。要するに、ギリシャに端を発した欧州財政懸念が表面化した中で、投機筋はユーロ買いリスクをとらなくなっていたが、それが変化し始めたということのようだ。
この背景には、米国での追加緩和観測により、ドルが売られやすくなっているということがある。欧州財政懸念によるユーロ売り以上に、米追加緩和観測によるドル売りで、ユーロはむしろ買われる形になってきたわけだ。
では今年に入ってからユーロ売りを後押ししてきた欧州財政懸念は払拭されたかといえば、決してそうではない。依然として欧州の財政懸念がくすぶる中、欧州のリスクプレミアムも高止まりの構図が続いている。ただ、それ以上にドル売りニーズが強く、ユーロは「欧州不安離れ」で買いということなのか。客観的に見れば、引き続き財政懸念というアキレス腱を抱える中でのユーロ買いリスク・テークには、行き過ぎ懸念もありそうだ。

◆オセアニア通貨買いの「限界」
同じく、CFTC統計によると、投機筋の豪ドルのネット・ロングは経験的に6万枚、そしてNZドルの場合は1.5万枚が「買われ過ぎ」懸念の境界線といえそうだ。ところが、両通貨のネット・ロングは、先週にかけてそんな境界線を上回ってきたのである。
過去には、それぞれのネット・ロングが豪ドルは8万枚まで、そしてNZドルも2万枚まで拡大したことはあったが、その後は「買われ過ぎ」の反動から急低下に向かった。その意味では、今回の場合も「買われ過ぎ」領域に入ってきたと言った認識は必要ではないか。
また、豪ドルは中期的に「上がり過ぎ」も懸念される段階となってきた。経験的に、豪ドルは購買力平価からのかい離率が10%を超えると「上がり過ぎ」で、それが一巡した後の反落が大きく入りやすい。その購買力平価は直近で71-72円程度だから、80円を大きく越える豪ドル高は、購買力平価を10%以上も上回っている計算になる。(了)

【参考リンク】
*注1.豪ドルのポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=AUD&KCD=&chr=#osatab
*注2.NZドルのポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=NZD&KCD=&chr=#osatab
*注3.豪ドルの購買力平価からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=5&CODE=AUDJPY#osatab

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2010.09.30 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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