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介入で相場の完全決着は難しい

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

日本政府がついに円売り介入に出動し、円急反落となっている。円が「買われ過ぎ」となっていたことの反動からすると当然ではあるが、ただ経験的には、一回の介入で相場が反転した例はなかったため、これで円高が終わったとの判断は早計だろう。

◆介入開始から反転まで最短でも5カ月
1990年以降で、円高および円安トレンドは、2007年6月から展開している今回の円高トレンドを除くと6回に分けられる。このうち、相場の反転にかけて日本の為替介入があったのは3回、介入がなかったのは3回だ。そして為替介入を行う中で、円高から円安へ、円安から円高へ相場が反転したケースでも、1回の介入で反転が起こったわけではなかった。最初の介入から、相場が反転するまでは、最短で5カ月、最長では2年も要していた。
こういったことを参考にすると、15日の円売り介入により、82円台で今回の円高トレンドが終わったと判断するのは早計だろう。介入が行われても、相場の反転まで最短でも5カ月かかるなら、来年初めまで、円高トレンドは終わらないといった見通しになる。

◆円の「買われ過ぎ」修正どこまで?
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、ヘッジファンドなど投機筋の円ポジションは、9月7日現在で5.2万枚のネット・ロング(買い持ち)となり、8月10日に記録した今年最高のネット・ロングに並んだ。ネット・ロングのこれまでの最高は、2008年3月25日に記録した6.5万枚だが、経験的には5-6万枚で「買われ過ぎ」警戒域と見られるため、今回の場合もかなり投機円買いが限界に近付きつつあるといえそうだ。
この局面で円高が続いていたのは、民主党代表選への思惑が1つあったと思われるが、それとともに日本企業の9月中間期末に向けた円転の影響もあるだろう。一方で、この間円買いを後押ししてきたと思われる要因の一つである米金利低下に伴うドル売りには、このところ変化の兆しも見られる。
こういった環境からすると、中間期末に向けた実需の円買いの勢いが一巡すると、ちょっとしたきっかけでも投機円買いの逆流で円反落も起こりやすい状況にあると考えられる。 そういった中で、最初に書いたように約6年半ぶりの為替介入が行われたことから、円反落が後押しされた形になったということだろう。(了)


【参考リンク】
*注1.円のポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=JPN#osatab

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2010.09.16 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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