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ユーロ高の「終わりの始まり」

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

順調に広がってきたユーロ高が、少し足踏み気味となってきた。そろそろユーロ高も「終局」に入ったということではないか。

◆ユーロ高の原動力は何だったか
今回のユーロ高は、空前のユーロ「売られ過ぎ」修正に伴うユーロ買いが原動力の一つだった。その「売られ過ぎ」は、8月初めにかけてほぼ修正が終わったようだ。CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、一時11万枚を越えたユーロのネット・ショート(売り持ち)は、8月第1週には1万枚以下に縮小した(注1)。ユーロのポジションはすでに「売られ過ぎ」ではなく、中立な状態になったようだ。
もう一つのユーロ高の原動力は、下がり過ぎ修正だった。ユーロは一時90日移動平均線からのかい離率が対米ドル、円ともにマイナス10%まで拡大、経験的に下がり過ぎ限界圏に達していた。ところが、最近はこのかい離率がプラスに転換、さらにプラスかい離率は一時4%程度まで拡大した。下がり過ぎの反動で上がってきたユーロだが、むしろ上がり過ぎ気味になっていたのである。
では、ユーロについて買いリスクをとり、「上がり過ぎ」を拡大できたのだろうか。欧州のリスクプレミアムを示す欧州CDS指数は、6月初めに頭打ちになり低下に転じたものの、それでも今年1-2月の水準に比べるとまだまだ高い水準にある。欧州の信用不安が、ギリシャなどの財政懸念が拡大する以前まで戻ったというわけではまったくないわけだ。

◆「100年に一度の危機」以来の金利下がり過ぎ
ところで、そんなユーロ安・ドル高が展開する中で、米金利は一段と低下している。ただ、経験的にみると、短期的にも、中長期的にもかなり下がり過ぎ懸念が強まっている。これ以上の金利低下になると、「100年に一度の危機」以来の下がり過ぎになる。
米長期金利は11日にはついに2.6%台に低下してきた。これで、90日移動平均線からのかい離率はマイナス20%近くに拡大してきた(注2)。これまで、同かい離率がマイナス20%を超えたのは、2008年12月から2009年1月にかけての局面以外ではない。この局面は「100年に一度の危機」と呼ばれたが、その意味ではここから一段と2.6%を米長期金利が下回る動きになるようなら、「100年に一度の危機」以来の下がり過ぎになる。
ところで、米長期金利は中長期の行き過ぎをチェックする5年線からのかい離率で見てもかなり下がり過ぎ懸念が強まっている。同かい離率はマイナス30%を超えてきた(注3)。経験的に同かい離率のマイナス30%以上は中長期的にも米金利が相当の下がり過ぎ懸念になっていることを示している。(了)

【参考リンク】
*注1.ユーロのポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=EUR#osatab
*注2.米10年債利回りの90日移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=3&CODE=USGG10#osatab
*注3.米10年債利回りの5年移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=3&CODE=USGG10#osatab

2010.08.16 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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