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試される円買い・ドル売りの持続力

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

円の「買われ過ぎ」懸念が拡大し、一方で米ドルも「売られ過ぎ」が目立ち始めてきた。米景気先行き懸念から先行き円高・ドル安との見方は根強いが、目先的には行き過ぎ気味が目立ってきた円買い・ドル売りをこのまま持続できるか微妙な段階に入っているようだ。

◆円は「買われ過ぎ」領域に
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、円のネット・ロング(買い持ち)は8月3日現在で4.7万枚に拡大し、今年に入ってからの最高を更新してきた。円のネット・ロングは、経験的には5-6万枚で拡大が限界に達する。その意味では、先週前半にかけて、かなり円買われ過ぎ懸念が強くなったといえそうだ。
一方で、ドルは対円に限らず「売られ過ぎ」気味になってきた。主要5通貨(日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドル)のポジションから推計したドルのポジションは同じく3日現在で、9万枚のネット・ショート(売り持ち)だった。経験的には、ネット・ショートが10万枚を大きく超えてくると、「売られ過ぎ」懸念が強くなる。
その意味では、ドルはまだ「売られ過ぎ」という段階ではない。ただ、ほんの2カ月前、6月初めには、ネット・ロングが15万枚を大きく上回り、「買われ過ぎ」が懸念される状況にあったドルということからすると、たった2カ月でドルを取り巻く状況が急変しているといえるだろう。
こんなふうに、円は「買われ過ぎ」で、ドルは着実に「売られ過ぎ」が広がりつつある。これは米景気先行き不安などにより米金利が低下し、日米金利差が縮小することなどを受けた動きだが、さらにそれが一段と広がるかは微妙な段階に入っているといえそうだ。

◆8月中旬の円高豹変劇、今年は?
ここ数年、8月中旬は円高豹変劇が繰り返されてきた。まず2007年は、8月中旬に一日で4%以上のドル急落が起こった。2008年は、この8月中旬から一カ月で6%のドル一段安へ向かった。そして昨年、2009年も8月7日に97円台でドル戻り高値を付けると、月末までに約5%のドル急落へ向かった。そんな具合に、過去3年連続で円高への重要転換点になった8月中旬だったが、今回はどうか?
2007年の8月は16日にたった一日で、ドルは117円手前から112円へ4%もの急落を演じた。この局面は、2007年6月の124円から少しずつ円高・ドル安が進み始めていたところだったが、この動きで円安から円高への基調転換が誰の目からも強く認識されるところとなった。
2008年は8月15日に110.67円でドルは戻り高値を記録した。それからほぼ一カ月後の9月16日に103円半ばまでドルは一段安になった。さらに、この9月中旬、リーマンショックが起こったことから、10月にかけてドルは一気に90円割れ寸前までの大暴落となったのだった。
そして昨年、2009年。上述のように、ドルは8月7日に97円台で当面の高値を確認すると、やはり中旬から下落加速に向かった。結局、11月末には84円台までドル一段安となったが、この始まりも8月中旬だったのである。
こんな具合に過去3年連続で、一カ月以内に5%前後のドル一段安、円一段高へ向かう動きが始まった8月中旬だった。これに対して、今年はすでに7月から円高・ドル安が広がっていたわけだが、それが一段と加速することになるのか。それとも、「仏の顔も三度まで」とばかりに、8月中旬の円高豹変劇も一区切りつけることになるのか。(了)

【参考リンク】
*円のポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=JPN#osatab
*ドル円の90日移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=1&CODE=USDJPY#osatab

2010.08.12 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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