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再燃する米国債バブル説

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

米国債利回りの移動平均線からのかい離率が、2009年1月以来の大幅なマイナスに拡大してきた。2008年末、2009年1月末は、米10年債利回りが2%割れ寸前まで低下し、「米国債バブル」とされた局面だ。それ以来のかい離率拡大になっているということは、今回の米国債価格の上昇、利回り低下が米国債バブル再燃の可能性があることを示しているだろう。

◆短期、中長期ともに下がり過ぎが広がる米金利
米10年債利回りの5年移動平均線からのかい離率はマイナス30%前後まで拡大してきた(注1)。2008年12月から2009年1月にかけて、同かい離率は一時マイナス40%を超えるほど急拡大したが、それは米国債バブルとされた。それ以来のマイナスかい離率拡大になっているわけだ。
もう少し短い期間の移動平均からのかい離率も点検してみよう。90日移動平均線からの米10年債利回りのかい離率は、ここ数日マイナス10%を上回って推移している(注2)。これも2009年1月以来の大幅なマイナスだ。
このように、米金利が短期的にも中長期的にも2009年1月以来の下がり過ぎ懸念の動きになってきたのは、景気先行き不安と追加緩和期待によるものだろう。上述の2008年末、2009年1月の米国債バブル局面では、2008年12月FOMC(米連邦公開市場委員会)での実質ゼロ金利決定を受けて、利回り低下がボトムアウト、反転に向かった。
その意味では、今回の米国債バブル再燃といえる動きも、今週のFOMCが一つの転機になる可能性があるだろう。

◆米株の「日本化現象」なのか
米株の「日本化現象」という言葉が注目されている。本来、低金利を続ける中では起こらない株の弱気相場入りが、この間何度か起こってきたのが2000年代の日本株だった。さて、実質ゼロ金利を続ける中でも米株が弱気相場入りするなら、それはまさに「日本化」というわけだが、果たして?
株が高値から2割以上の反落となることを「弱気相場への転換」という。それがNYダウで起こったのは、1998年以降では3回あった。ところで、その3回は基本的にイールドカーブが「寝た」状態で始まった。イールドカーブが「寝た」状態とは、基本的に短期金利が高い状態。つまり利上げが複数回継続した後だ。
これに対して、最近のイールドカーブは「立った」状態にある。これは基本的には短期金利が低い状態にあるということで、利下げを続けてきた後ということでは当然だ。問題は、そんなイールドカーブが「立った」状態ではかつて基本的に起こらなかった株価の弱気相場への転換が起こるかということだ。
ただし、このイールドカーブが「立った」状態、つまり低金利を続けた中でも株価の弱気相場入りが何度か起こったのが日本だった。そこで、米株もそんな「日本化」したとの見方が一部で議論になっている。ただし、そもそも世界で最も業績相場の反応となる日本株に対し、利下げを好感し株高になるといった金融相場でも反応する米株が、「日本化」するといったことがあるのだろうか。
FOMC(米連邦公開市場委員会)での追加緩和も注目される中で、米株の「日本化現象」といった見方も試されることになりそうだ。(了)

注1.米10年債利回りの5年移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=3&CODE=USGG10#osatab
注2.米10年債利回りの90日移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=3&CODE=USGG10#osatab

2010.08.09 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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