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民主党の円高阻止方針は変わったのか

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

民主党政権は、鳩山総理時代の途中から円高阻止政策へ軌道修正し、その具体策の一つにゆうちょ銀行の米国債購入など「為替PKO」を利用していた形跡があったが、今回の菅内閣への交代で、この「為替PKO」が中断する可能性が、一部で密かに注目されている。

◆為替PKO中止の可能性
この発端になったのは、6月23日付け日経新聞に掲載された自見金融担当相のインタビュー。この中で、自見大臣は、郵便貯金などの資金運用について「安全、確実、有利な方法でやるべきだ」と指摘。「リスクを伴う海外への投資などでの運用には消極的な姿勢を示した」(同記事)と報じられた。
ゆうちょ銀行は昨年度、米国債購入が急増した。決算資料などによると、昨年10-12月期に3千億円、今年1-3月期は5000億円以上の米国債を購入した可能性がある。このような米国債の大量購入は、亀井前金融担当相と原口総務相が主導した「リスクを伴う海外への投資」方針への転換を受けた動きとみられている。ところが、自見大臣は、その方針を否定したわけだ。
ところで、このゆうちょ銀行の米国債大量購入は、鳩山政権の90円を大きく超える円高を阻止する政策とも連動していた可能性が考えられる。鳩山政権は、発足当初こそ自民党政権へのアンチテーゼとして、アンチビジネスの立場で円高容認だった可能性があるが、比較的早くそれを微調整に動いた模様だ。その中で、産業界への悪影響の大きい過度な円高阻止へ、ゆうちょ銀行の米国債購入も利用した可能性があった。
政府が非公式に相場の安定を図る動きを、PKO(プライス・キーピング・オペレーション)と呼ぶ言葉があるが、菅内閣への交代で「為替PKO」が後退する可能性は、一部で密かに注目されている。

◆民主党の円高許容度拡大か
民主党政権は、鳩山総理時代の途中から90円を大きく超える円高阻止へ軌道修正した。しかしそれを見直し、円高許容度を拡大する可能性が、一部で密かに注目されている。
日本と同じアジアの中国は、最近人民元を弾力化し、実質切り上げに踏み出したとみられている。これには、オバマ米大統領などが主張する、対外不均衡是正のために米国の消費に過度に依存することなく、貿易黒字国は内需主導経済への移行を進める必要があるといった考え方に対応した面はあるだろう。そういった中では、貿易黒字国である日本も、円高阻止に公然とは動きにくいだろう。
民主党政権は、発足当初こそ、前自民党政権の産業界寄りの政策方針へのアンチテーゼとして、家計重視、産業界に対しては距離を置く姿勢でスタートし、それは円高容認の可能性があった。しかし鳩山政権への支持率が急低下する中で、この姿勢を修正。昨年11月にはデフレ宣言をおこない、その後も日銀が追加緩和に踏み切るなど、90円を大きく越える円高局面では、阻止姿勢を明確にしてきたが、それをあらためて微調整する可能性が注目されそうだ。(了)

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2010.07.01 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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