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NFPリスクの予防相場

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

7月2日発表予定の米6月非農業部門雇用者数(NFP)が、約半年振りの前月比減少になると予想されている。ここに来て景気先行き懸念が再燃しているが、それを見極める象徴的な役回りになりそうだ。

◆NFPの激減リスク
6月NFPの事前予想コンセンサスはマイナス5-10万人程度のようだ。NFPは、昨年12月のマイナス10万人の後は、今年に入ってから5月まで前月比プラスが続いてきただけに、予想通りにマイナス転落となると半年振りのことになる。
このところ、ユーロ危機から5月以降株価が大幅安となった影響などから、米景気指標も悪化が目立ち始め、景気の先行き不安が再燃、一部には「二番底」懸念も囁かれ始めたようだ。そういった中では、米景気指標の中でも最も注目度の高いNFPが半年振りにマイナスに転落するかは、象徴的な判断材料になりそうだ。
ただし、米金利は、すでにこのような景気先行き不安が台頭する以前から、ユーロ発世界同時株安に伴うリスク回避の動きを受けて低下が先行。米長期金利の90日移動平均線からのかい離率がマイナス10%を下回る動きとなっていたが、これは経験的には短期下がり過ぎの可能性を示している。そういった中で、景気の「二番底」不安にどこまで反応、金利低下余力があるかは微妙だ。
7月のNFP発表と金利の関係は、4月のそれと正反対に位置付けられるかもしれない。4月初めの米3月NFP発表は、センサス(国勢調査)に伴う臨時雇用といった特殊要因の影響から激増すると予想されていた。このため、米金利は上がり過ぎの動きを拡大したが、結果的に予想通り激増となったNFPの結果を見極める形で、この米金利の上がり過ぎは一巡した。
さて、今回はその4月とは逆に、NFPのネガティブ・サプライズを警戒する中で、金利の「下がり過ぎ」が広がってきた。それは、7月2日のNFP発表で一巡となるのか、それともすでに4月初めの米金利上昇「行き過ぎ」以上に、今回は米金利低下「行き過ぎ」が拡大していることから考えて、NFP発表前に行き過ぎ相場が決着する可能性も注目される。

◆米金利低下のクライマックス
米長期金利の90日移動平均線からのかい離率は、22日にマイナス10%を大きく越えてきた。これは経験的には、短期下がり過ぎの可能性を示している。
ところで、そんな米長期金利は、一年前の6月には90日線からのかい離率が最近とは正反対にプラス30%程度まで拡大していた。また一昨年の6月には、同かい離率がプラス10%を超えていた。昨年の場合はもちろん、一昨年の場合も経験的に米長期金利の短期上がり過ぎ懸念を示す動きだった。
こんなふうに、下がり過ぎ、上がり過ぎと方向は今回と逆だったが、過去2年連続で、この6月は米長期金利の行き過ぎが一巡、反転するタイミングとなった。このように米長期金利が6月に重要な基調転換となるのは、過去2年に限らず、これまでとても多かった。過去10年間では、何と8回、6月の米長期金利が年間の天井ないし底値を記録していた。
さて、そんなふうに米長期金利の基調転換が起こりやすい6月に、今年は「下がり過ぎ」になっているわけだ。過去10年間で8回あった6月の米長期金利の基調転換は、5月29日-6月26日に起こっていた。その意味では、すでに今回の米金利も底を打ったか、間もなく打つか、そんな可能性が高いのではないか。(了)
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2010.06.24 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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