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ポスト・ユーロ危機のシナリオ

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

ユーロ危機から世界同時株安、リスク回避による金利低下となった動きに一服の兆しが出てきた。もしも一服ということなら、この「ユーロ発金融混乱」の中で起こった「いびつな現象」の反動が注目される。それは株安・金利低下「行き過ぎ」の修正だ。

◆ユーロ危機で起こった「いびつな現象」
米企業の業況感と米長期金利は、基本的に相関関係にある。それがこの1-2カ月、大きく崩れた。ISM(米供給管理協会)製造業景況指数からすると、4%以上を推移していておかしくない米長期金利が、むしろ3%割れ寸前まで低下したのである。
この「いびつな米金利低下」をもたらしたのは、「ユーロ発金融混乱」を受けたリスク回避に伴う安全資産、米国債買いだった。上述のように、「ユーロ発金融混乱」が一息つき、「いびつな現象」の反動が入るなら、米長期金利は4%に向かって急騰に転じる可能性もありそうだ。
また、「ユーロ発金融混乱」の中で、世界同時株安が広がったが、その中で、とくに先進国の株価指数の中でも日英のそれは、短期下がり過ぎの懸念があった。90日移動平均線からのかい離率がマイナス10%以上に拡大すると、経験的には短期下がり過ぎ限界圏だが、日経平均、英FT指数などはまさにそんな結果となった。
さて、経験的には、そんな短期下がり過ぎの拡大が一巡すると、その修正は最低でも90日線を回復するまで続く。日経平均の90日線は、15日現在で1万500円程度だから、「ユーロ発世界混乱」が一服し、「いびつな株安」が修正されるなら、最低でも日経平均は1万500円を超えるまで上昇する見通しになる。

◆ユーロ大相場とドル円小動きの好対照
2010年も約半年が経過しつつあるが、その中でユーロが異例の大相場になっている一方で、対照的にドル円は異例の小動きとなっている。6月14日現在での、年初からの最大値幅は、ユーロドルがすでに2700ポイントにも達しているのに、ドル円は700ポイントといった具合に、ほとんどユーロドルの4分の1程度にとどまっている。
今年に入ってからユーロドルの値幅は、1.1876-1.4580ドルで最大2704ポイント。昨年のユーロドル最大値幅は1.2457-1.5145ドルで2688ポイントだったから、まだ半年も経過していない中で、昨年一年間の値幅を上回っているわけだ。今年のユーロドル相場が、いかに異例の大相場かわかるだろう。
では、為替全体が大相場かといえば、そうではない。ドル円はこれまでのところ、むしろ異例といって良いほどの小動きが続いている。今年に入ってからのドル円最大値幅は87.95-94.99円でたったの704ポイントになっている。
ドル円の年間値幅の最低は10.9円、平均は19.9円だ(1988年以降)。要するに、ドル円は一年間で20円程度の値幅で動くのが普通で、最低でも10円以上の値幅で動くもの。したがって、このままの小動きが残る半年も続くなら、ユーロドルとは正反対に異例の小動きということになるわけだ。
ただ、かりにこのまま今年のドル円値幅が年間最低の10円程度にとどまるとしても、年後半に値幅は3円以上拡大する計算になる。ドル安の85円割れか、ドル高の100円接近の可能性は十分残っているという計算になるわけだ。(了)

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2010.06.17 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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