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鳩山政権は円高阻止ができるのか

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

円は対米ドルでこそ、昨年11月末に記録した84円台という高値より円安水準で推移しているが、総合力を示す実効相場で見ると、鳩山政権誕生後の高値を大きく更新し、「100年に一度の危機」の中、2009年1月に記録した高値に接近してきた。円高阻止へ方針転換した可能性が高い鳩山政権が、こういった円高の動きにどう対応するかは注目してみたい。

◆円高阻止へ転換した鳩山政権
鳩山政権は、発足直後こそ、最初の財務相、藤井財務相の円高容認発言などから、円高容認方針と受け止められたものの、その後は政策転換に動いたとの見方が強い。実際、90円を超える円高・ドル安に対しては、日銀が追加緩和に動いてきた。また、鳩山政権の指名で日本郵政のトップが交代すると、その傘下のゆうちょ銀行による米国債購入が急拡大したのも、鳩山政権の意を汲んだ「代理介入」と考えられなくない。
鳩山政権は、誕生直後こそ、前自民党政権の大企業寄りの政策に対する対抗軸として、アンチ・ビジネスの傾向が強かった。その中では、輸出企業支援となる円高阻止に対して一線を画していた可能性は高い。しかしその後、微妙にプロ・ビジネスへ軌道修正しているフシがある。これは円高阻止への政策転換と重なる。
対米ドルでこそ、円高も足踏みが続いているが、ユーロ円などで円高値を大きく更新する中で、円の総合力を示す実効相場は鳩山政権誕生後の高値を大きく更新してきた。円高阻止といった方針を鳩山政権がとっているなら、日銀の追加緩和や、ゆうちょ銀行などの米国債購入拡大などの動きは注目されそうだ。

◆9000億円弱に上った「為替PKO」
そのゆうちょ銀行が発表した昨年度の決算資料によると、米国債運用額が9千億円弱増えていたことがわかった。昨年10-12月に3000億円、そして今年1-3月に5000億円以上の米国債を購入していた可能性がある。鳩山政権の90円を割れる円高・ドル安回避方針に伴う「為替PKO」の可能性も注目される。
ゆうちょ銀行の決算資料によると、同行の米国債運用は一昨年度までゼロだったが、昨年度は一気に8738億円の増加となった。ところで、この大半はほぼ昨年度下期(昨年10月-今年3月)に集中した可能性が高そうだ。一部報道は、昨年10-12月に、ゆうちょ銀行が3000億円の米国債を購入したと報じた。それが正しければ、今年1-3月にさらに5000億円以上の米国債購入に動いた計算になる。
こういったゆうちょ銀行の米国債運用は、国債偏重の資産構成の見直し、またドルが対円で歴史的安値圏まで下落していることから長期保有を目的とした判断がありそうだ。それとともに、鳩山政権の円高阻止方針の影響も考えられる。
発足当初、財務大臣の円高容認発言などが目立った鳩山政権だったが、昨年11月頃からは90円を超える円高は回避する方針に転換したとの見方が強い。90円を超えて円高・ドル安が進む局面では、日銀が追加緩和に動くなど、円高回避の政策発動が続いた。
このようにみると、ゆうちょ銀行の米国債購入拡大は、円高・ドル安回避も「影の目的」になっていた可能性はあるだろう。ユーロ危機から、金融市場が不安定になり、リスク回避による円高圧力が強まってきたが、90円を割り込む円高・ドル安がどれだけ進むかは、「為替PKO」の動きも一つの鍵を握りそうだ。(了)

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2010.05.27 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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