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パニック・アナロジーはいつまで続く?

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

5月6日、大パニックが起こった為替相場だったが、その主役、ユーロは対円、対ドルともに、パニックからわずか2営業日目には、パニック前の水準を回復してきた。これは、じつは2008年10月24日のパニック相場後の展開と同じだった。さて、こんなパニック相場のアナロジーを参考にすると、ユーロのさらなる反発も限られるが、一方パニックで付けた安値の更新も一カ月半程度はなさそうだ。

◆「5・6」と「10・24」の類似
2008年10月24日に起こったパニックは、今回の「5・6パニック」以上に激しいものだった。ところで、この10月24日に、98円から91円割れへたった一日で7円以上もの大暴落となったドル円は、パニックから2営業日後にはさっそく98円台を回復した。ただドル反発も限られ、結局100.5円までにとどまると、結果的にパニックから約1カ月半後の12月中旬には、パニックで付けた安値を更新するところとなった。
さて、今回、「5・6パニック」でユーロ円は120円から110円へ一気に10円の暴落となったが、パニックから2営業日たった10日、早速120円台を回復した。パニックからたった2日で、相場が元に戻るところまでは、「10・24パニック」と基本的に同じだ。
さて、この先もこの「パニック相場アナロジー」が続くなら、ユーロのさらなる反発は限られることになる。ユーロは10日に122円まで反発したが、あれでパニック後の反発は一巡した可能性もあるだろう。そして、1カ月半程度で安値更新となるなら、6月後半にかけて110円割れの可能性が出てくるといった見通しになる。

◆ギリシャは固有の問題ではないのか
このようにパニック・アナロジーが続くかを見極める鍵は、今回のユーロ危機、そのきっかけになっているギリシャ問題をどの程度深刻に受け止めるかということにあるだろう。
 ギリシャ問題については、「第2のリーマン・ショック」といった具合に深刻に受け止める見方も増えている。つまり、これはギリシャ固有の問題ではなく、他の欧州諸国、さらにはいずれ日米など欧州域外にも波及する懸念を抱えているといった見方だ。
 こういった見方の背後には、「100年に一度の危機」からの脱出は、政府による異常な政策発動によるものだったが、それはリスクが民間から政府にすり替えられたに過ぎないから、その結果異常に膨らんだ財政赤字が新たな問題になってくるという判断がある。そういった見方からすると、ギリシャの財政赤字問題は、ギリシャ固有の問題にとどまらないといったことになるわけだ。
 ギリシャ発金融危機の中で起こった「5・6パニック」は、その後ユーロ圏などが危機対策を緊急決定したことで収束、一旦はあっけなく元に戻る展開となった。しかしギリシャ危機が「第2のリーマン」ならこれも一休みに過ぎず、ユーロはまた底割れに向かっていくということになってしまう。
私は、ギリシャ問題は、「第2のリーマン」ではなく、ギリシャ固有の問題ではないかと思っている。「100年に一度の危機」後の世界経済の回復が予想以上に展開する中で、財政赤字リスクが世界的に拡大する懸念はむしろ後退していると思っているからだ。そうであればユーロはすでに底を打ったとなるだろうし、そういった見方が甘ければユーロはふたたび底割れに向かうことになるだろう。(了)

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2010.05.13 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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