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ギリシャ危機の世界的な波及

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

4月27日、S&Pがギリシャ国債の大幅格下げを決めたことなどをきっかけに、金融市場のリスクプレミアムが急拡大している。ギリシャ問題は、ギリシャ一国にとどまらず、欧州全体、そして世界的な問題になり始めたといった見方もできるだろう。

◆他人事ではなくなったギリシャ問題
欧州の信用リスクを示す欧州CDS指数は、27日に96.1まで急騰、2月5日に記録した91.6という年初来の最高を大きく更新してきた。じつは、欧州の信用リスクということでは、2月前半にEUサミットでギリシャ支援の方針が決まったところがこれまでのピークだったが、それをここに来てあらためて更新してきたわけだ。
ギリシャ財政問題は、3-4月も悪化を続け、それを受けてギリシャ国債の利回りは上昇が続いていたが、欧州のCDS指数は比較的安定していた。あえて極端な言い方をすると、ドイツなど一部の欧州の国々が、ギリシャ支援に慎重姿勢を示していたのも、自分達には関係なかったからだが、ここに来てそうも言っていられなくなってきたようだ。
これは、欧州以外の地域についても少し当てはまるだろう。「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数の年初来の最高は、1月下旬、米オバマ大統領の金融規制案発表直後に記録したものだった。27日の「ギリシャ・ショック」を受けて、まだその年初来最高更新とまではいかないものの、VIX指数も急騰となった。
ギリシャ問題は、世界的にはもちろん、欧州でさえも「他人事」だったが、ここに来てその構図が変わり始めてきた。欧州、そして世界がギリシャ問題に本気になる可能性が出てきたともいえそうだ。

◆売られ過ぎのユーロ
S&Pなど有力格付け会社によるギリシャ国債等の大幅格下げを受けて急落したユーロだが、その後はいったん下げ渋る展開になった。この背景には、ユーロが「売られ過ぎ」になっているということもあるだろう。
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、ユーロのポジションは、4月27日時点で8.9万枚のネット・ショート(売り持ち)だった。3月30日に記録した8.5万枚という過去最高のネット・ショートを上回り、空前のユーロ売りになっていることには違いない。
ユーロのネット・ショートは、今年に入るまでは2008年9月に記録した4万枚が最高だった。今年に入ってからそれを大きく更新、ユーロ売りが未曾有の規模で拡大している。それだけ今回のギリシャ財政危機などを受けたユーロ売り圧力が強いといえるが、一方で経験的にみれば空前のユーロ「売られ過ぎ」が続いているということでもあるだろう。
ギリシャ国債の大幅格下げ、「S&Pショック」でいったん1.31ドル台へ急落したユーロはその後はいったん下げ渋りとなった。これはギリシャ救済の動きを見守っているといったこととともに、ユーロがすでに「売られ過ぎ」になっている影響も小さくないだろう。(了)

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2010.05.06 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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