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円売りとユーロ売り、それぞれの「?」

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

円売りが先週にかけて約3年ぶりの規模に拡大してきたようだ。これは内外金利差がほぼない状況では、異例の円売り拡大といえる。先週末は一時92円割れとなるなど、ドル反落、円反発が拡大したが、背景には金利差などからみた場合の「無理な円売り」の反動もあるだろう。

◆「金利差なき円売り」の軋み
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、4月13日現在で、円のポジションは5.5万枚のネット・ショート(売り持ち)になった。円のネット・ショートが5万枚を超えたのは2007年7月31日(5.1万枚)以来だから2年9カ月ぶりのこと。
円のネット・ショートは2005年4月からこの2007年7月にかけて5万枚を超えるケースが断続的に起こり、最大では18万枚まで拡大したことがあった。ただこの当時の日米政策金利差ドル優位は最大で5%を超え、最低でも2.75%といった具合に、最近のようにほとんど金利差がないような状況に比べると大幅なドル優位、円劣位だった。
また、1998年から2000年にかけても、断続的に円のネット・ショートが5万枚を超えたことがあったが、この当時も日米政策金利差ドル優位は5%前後といった具合に大幅に開いていた。こんなふうにみると、最近のような円売り拡大は、それ自体は珍しいものではないが、金利差がほとんどない状況の中ではきわめて異例のものだったといえるだろう。

◆「構造論」も浮上してきたユーロ売り
一方ユーロは、下落が続く中でユーロ売りの理由として「構造論」も一部で囁かれ始めたようだ。ただ、循環的な相場の変動について、「構造論」が持ち出されるのは、経験的には基調転換が近付いてきたことが多い。
ユーロ下落が長引く中で、ユーロ売りの理由として、かつては米ドルに次ぐ「第2の基軸通貨」とされたユーロについて、そもそも準備通貨としての存在を疑問視する見方も一部で囁かれ始めたようだ。構造的なユーロ売りの理由であり、それだけユーロ売りの根深さを示しているといえる。
ただ一方で、循環的な相場変動について、構造論が登場するようになるのは、経験的には相場の循環的な変化が転換点に近付いている場合が多かった。
たとえば、ユーロの総合力を示す実効相場の、5年移動平均線からのかい離率をみると、昨年11月末からユーロが売られ始めるようになった時には、プラス10%弱に拡大していた。 これは、中長期的にユーロが上がり過ぎ警戒域にあったことを示している。ところが、同かい離率は、最近はほぼニュートラルになってきた。つまり、ユーロの中長期的な割高感はほぼ修正されたわけだ。
ギリシャなど欧州の財政問題などをきっかけにユーロ売りが始まったが、そこにはそもそも割高な水準にあったユーロだから売ったという面もあっただろう。ただそのユーロ割高感はすでに是正された。決して割高過ぎるわけでもないユーロを、構造的理由からさらに売っていくかは微妙ではないか。(了)

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2010.04.22 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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