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「調整円安」の分岐点

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

ドルは4月に入って反落に転じたが、一方で一気に90円割れに向かう感じもない。ドル「買われ過ぎ」、円「売られ過ぎ」の調整が入っているものの、世界景気回復を受けて米利上げ観測も現実味を帯びる中で、それを織り込む形でのドル高・円安の流れはまだ終わっていない可能性が高いのではないか。一方、ユーロも反発気味ながら、今一つ反発に勢いがない。ユーロがリスク投資の調達通貨になる、「ユーロ・キャリー」の影響もあるのではないか。

4月後半戦の焦点=調整円安なのか?!

 2007年6月から展開してきた円高・ドル安基調の中では、それと逆行する「調整円安」局面が2回あった。では今回は、3回目の「調整円安」なのか。
 過去2回の「調整円安」は、終了後に短期間でドルが一定の急落となった。具体的には1-2週間で2%を大きく超えるドル下落となっていた。さて、これが「調整円安」終了後のプライスアクションなら、今回の場合は、95円手前から92円を大きくドルが下回る動きが2週間程度で起こる必要がある。
そうならなかった場合は、プライスアクション的には、まだ調整円安が続いているか、それとも円高基調からすでに円安基調に変わっている可能性が出てくる。4月後半のドル円を見る上での最大の焦点になりそうだ。

欧州通貨売り・資源国通貨買いの流れ

ユーロ売りが空前規模で拡大している。この中では、低金利とユーロ安といった2つの前提条件の下で、いわゆるユーロ・キャリー取引が拡大しているということもあるのではないか。
キャリー取引とは、安いコストで調達した資金を売って、より利回りの高い先へ為替リスクをとった形でおこなう取引のことをいう。円キャリー、ドル・キャリーといった取引が有名だが、最近のユーロ売りの動きをみると、ユーロ・キャリーが拡大している可能性もありそうだ。
ユーロ・キャリー取引の拡大が話題になったのは2000年ITバブル破裂前にもあった。1999年に誕生したユーロは米ドルに続く「第二の基軸通貨」といった期待とは裏腹、当初一本調子の下落基調を辿った。このため、調達したユーロを売って、米ナスダックなどIT株で運用する、ユーロ・キャリーが拡大したのである。
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、ユーロのポジションは一時ネット・ショート(売り持ち)が8万枚を超えるなど、過去最大規模に拡大した。ユーロ圏の政策金利が1%といった低金利と、下落基調が続くユーロ相場ということを考えると、このような空前のユーロ売り拡大の背景として、ユーロ・キャリーの動きがある可能性は充分考えられるだろう。
基本的に、ユーロ相場は、原油価格などと相関関係にあるが、それがこの数ヶ月は崩れている。原油高でもユーロ安になってきたわけだ。これは、調達したユーロを売って、新興国やコモディティ相場で運用するユーロ・キャリーが拡大していると考えれば辻褄が合うだろう。
ユーロ・キャリー取引の転換は、金利上昇や為替相場の上昇といった調達コストの悪化か、または運用先の相場の下落が目安になる。ユーロ相場の本格的な反発も、そんなユーロ・キャリー逆流が一つの鍵になるのではないか。 (了)

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2010.04.19 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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