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「ユーロ・キャリー」はいつまで続く?

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

ユーロ売りが空前規模で拡大している。この中では、低金利とユーロ安といった2つの前提条件の下で、いわゆるユーロ・キャリー取引が拡大しているということもあるのではないか。

◆空前のユーロ売り拡大
キャリー取引とは、安いコストで調達した資金を売って、より利回りの高い先へ為替リスクをとった形でおこなう取引のことをいう。円キャリー、ドル・キャリーといった取引が有名だが、最近のユーロ売りの動きをみると、ユーロ・キャリーが拡大している可能性もありそうだ。
ユーロ・キャリー取引の拡大が話題になったのは2000年ITバブル破裂前にもあった。1999年に誕生したユーロは米ドルに続く「第二の基軸通貨」といった期待とは裏腹、当初一本調子の下落基調を辿った。このため、調達したユーロを売って、米ナスダックなどIT株で運用する、ユーロ・キャリーが拡大したのである。
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、ユーロのポジションは一時ネット・ショート(売り持ち)が8万枚を超えるなど、過去最大規模に拡大した。ユーロ圏の政策金利が1%といった低金利と、下落基調が続くユーロ相場ということを考えると、このような空前のユーロ売り拡大の背景として、ユーロ・キャリーの動きがある可能性は充分考えられるだろう。
基本的に、ユーロ相場は、原油価格などと相関関係にあるが、それがこの数ヶ月は崩れている。原油高でもユーロ安になってきたわけだ。これは、調達したユーロを売って、新興国やコモディティ相場で運用するユーロ・キャリーが拡大していると考えれば辻褄が合うだろう。
ユーロ・キャリー取引の転換は、金利上昇や為替相場の上昇といった調達コストの悪化か、または運用先の相場の下落が目安になる。ユーロ相場の本格的な反発も、そんなユーロ・キャリー逆流が一つの鍵になるのではないか。

◆ユーロ売り終了の判定法
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、ユーロは3月30日に8.5万枚という過去最大のネット・ショート(売り持ち)を記録した。つまり最近は、過去に前例のないユーロ「売られ過ぎ」の状況が続いているわけだ。
ところで、過去において、ユーロ「売られ過ぎ」が一段落し、その修正が本格化すると、ユーロ相場は対米ドルで最低でも4%前後、反動が大きい場合は7-10%もの反発が起こっていた。今回のユーロ安値は、3月末、4月上旬に記録した1.32ドル後半。したがって、1.37ドルまでユーロ高となっても、ユーロ反発率はようやく3%を越えて来たに過ぎない。
ましてや今回の場合、過去にないほどの大規模なユーロのネット・ショートになっているから、その修正が本格化すれば、相当のユーロ買い戻しが発生し、ユーロの反発率も大きくなると見込まれる。ちなみに1.4ドルまでユーロ高になると、この間のユーロ安値からの反発率は5%程度に達することになる。
その程度のユーロ反発になれば、この史上最大のユーロ売りもいよいよ終わった可能性が高いだろうが、逆にいえばそれまではまだユーロ売り完了の判断は慎重に考える必要があるのかもしれない。(了)

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2010.04.15 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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