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FRBがQE3を口に出せない理由

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

最近と同じように、FRBが引き締めに転じたわけでもない中で、NYダウが弱気相場入りとされる2割の急落寸前まで続落したことが一年前にもありました。それは、ユーロ危機が異例なほどに金融市場を委縮させ、リスク回避をもたらしたためでした。

◆QE3悪玉説
金融市場の不安感を示し、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数をみると、昨年5-6月頃はその「恐怖指数」が急騰していたことがわかります。一方で、それと比べると、最近の「恐怖指数」はまだ落ち着いています。その意味では、金融政策以外の要因が、異例な形で金融市場を委縮させる一年前の構図とも違っていると思うのです。
このように、結果としては一年前ほど「恐怖指数」が急騰することにはなりませんでしたが、一時はちょっと危ない面もありました。世界一の原油供給地域である中東・アフリカで混乱が広がる「アラブの春」と呼ばれた動きの中で、供給不安から原油価格が高騰、それが世界景気回復の腰を折りかねない懸念が浮上しました。
しかしそんな原油価格も、最近にかけて反落となっています。これには、FRBなど政策当局が、一年前の失敗を教訓として、今度は原油高が「恐怖指数」高騰をもたらし、金融市場を委縮させ、リスク回避を招くといった「第2のユーロ危機」になることを回避することに努めた影響もあったと思います。
ところで、そんな中東・アフリカの民主化といった「アラブの春」のきっかけになったのは食糧価格、資源価格の高騰が庶民生活を直撃したことでした。それをもたらしたのは、昨年11月から、国際的な批判を強行突破して実施されたFRBによる第二次量的緩和、QE2との批判があります。
確かに、「資料」を見ると、昨年11月のQE2開始から、投機筋による原油の買いが空前規模の拡大に向かいました。そしてそれによる原油高が、一時景気回復を脅かした懸念があったわけです。
このような景気に対しての「QE2悪玉説」といったことが、皮肉にも6月初めに行われたバーナンキFRB議長の講演で一般的な認識となってきました。バーナンキ議長は、講演の半分以上を割いて、原油などコモディティ相場上昇はQE2のせいではないと反論したのです。逆に、それだけ「QE2悪玉説」が気になって仕方なかったと勘繰られるところとなったわけです。
いくらバーナンキが反論に躍起となったところで、QE2は景気を回復させたのではなく、むしろコモディティ相場の急騰、原油価格高騰により景気にネガティブなものになったとの見方がある程度あるなら、6月末のQE2終了後に、あらためてQE3という話はきわめて難しいのではないでしょうか。(了)

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2011.06.23 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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