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悲観から楽観へ「劇的変化」の可能性

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

米景気不安がくすぶり続けています。だから米金利もなかなか上がれず、その結果ドルも反発力が鈍い展開が続いているわけです。ただし、この6月には、これまで為替と金利の劇的変化が起こることが何度かありました。だから私は、今年もそんなふうになってもおかしくないといった具合に注目しています。

◆米株6週続落はクライマックスだったのか
そして単に「6月だから」といったことではなく、悲観から楽観へのドラマティックな変化への手掛かりらしきものも、決してなくはないと思います。たとえば、米株、NYダウは先々週まで6週連続陰線引けとなっていましたが、先週は7週間ぶりに陽線引けとなりました。途中は、米景気指標への失望や、ギリシャ・デフォルト懸念などからふらつきながらではありましたが、かろうじて1カ月以上続いた米株下落は一息つくところとなったのです。
ところで、今回と同じようにNYダウが6週連続で下落したことは2002年10月にかけてもありました。そしてこの時は、今回と同じように7週間ぶりの陽線引けとなると、それからは一転して8週連続の陽線引け(「資料1」参照)となり、その中でNYダウは2割の大幅上昇を達成したのです。結果的に見ると、この2002年10月にかけて起こったNYダウの6週連続下落は、2000年から続いていたITバブル破裂に伴う株暴落の大底入れで起こった現象だったのです。
さて、それ以来となった先々週にかけてのNYダウ6週連続下落は、同じように悲観相場のクライマックスだったのでしょうか。そして、先週からすでに8週連続株高、2割の米株大幅高が始まっているのでしょうか。

◆米景気への自信喪失は「誤解」か
確かに、この9年間、NYダウが7週以上連続で下落したことがなかったのは事実です。その意味では、先々週まで6週連続で株安になったことで、そろそろ下げが一服する頃ということはあるでしょう。ただ、だからといって、今度は一転連続株高に、大幅株高に向かうかといえば、そこまではどうだろうと思う人も少なくないのではないでしょうか。
それだけ景気の先行きに対する自信喪失が強くなっているような気もします。ただその辺りに対し、私からすると違和感があります。FRBが金融引き締めに転じ、人為的に景気を減速させるべく動いたわけでもないのに、何もしないで景気が急に失速し、株価の下落率が1割を大きく超えて2割に迫るような株急落に向かうことに違和感を覚えないほどの自信喪失の方が「誤解」の可能性はないでしょうか。
1998年以降で、米国の長短金利差にNYダウが2割以上の下落を始めた3回の局面をマークして見ると、NYダウの急落は、短期金利が高い結果、長短金利差がほとんどない中で起こっていたことがわかるでしょう。
短期金利が長期金利と同じぐらい高いというのは、何回も利上げを続けた後ということです。要するに、簡単な言い方をすると、株価が短期間で2割以上の急落に向かったのは、連続利上げの後だけだったのです。
では、最近はどうかというと、長短金利差は大幅に開いています。政策金利を実質的にゼロにしたまま、利上げをしていないから長短金利差は大幅に開いているわけですが、これまでこういったケースでは株価急落にならなかったのに、今回はこれまで起こらなかったことが起こるとでもいうのでしょうか。 (了)


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2011.06.20 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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