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ECB早期利上げでもユーロ反落の理由

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

ユーロは、先週木曜日のECB(欧州中銀)理事会にかけて、早期利上げ期待などから一時1.47ドル近くまで上昇しました。しかし、この理事会後に、期待通り来月利上げの可能性が高まったものの、その後は反落に転じ、1.43ドル台までユーロ安・ドル高となりました。
なぜユーロは、期待通りの早期利上げの可能性が高まったにもかかわらず反落に転じたのでしょうか。一般的にはいくつかの解説がなされていますが、私は基本的には原油が「影の主役」ではないかと思っています。

◆「影の主役」は原油か
先週木曜日のECB理事会後の記者会見で、トリシェ総裁は、来月利上げを示唆する時に使うとマーケットで理解されているコード、「強い警戒」という言葉を使ったので、一般の期待通りに来月利上げの可能性は高まりました。
ただ、にもかかわらず、ユーロ買いはすぐに行き詰ると、急落に転じ、一時1.44ドル台へ、さらに週末には1.43ドル台へユーロ一段安となりました。このユーロ急反落は、原油価格との関係から比較的うまく説明できそうです。
ECBの金融政策を織り込む独1年債利回りを見ると、5月初めにいったんECB早期利上げ期待が後退し、この金利も急低下しましたが、その後はすぐに元の水準まで上昇してきました。その意味では、ECB早期利上げ期待の後退は、5月初めの一時的なものでしかなかったのに、5月後半にかけてユーロは一時1.4ドル割れまで一段安となったわけです。
ECB早期利上げ期待など、5月初めに数日間後退しただけで、その後は大きく変わりなかったのに、その中でユーロは急落も、上昇もあったわけです。簡単な言い方をすると、この一カ月のユーロの動きに、ECB利上げ要因はあまり関係なかったということになるでしょう。
こういった中で、5月からのユーロの一時急落をうまく説明できたのは原油価格でした。「資料」はNY原油、WTIとユーロドルのグラフを重ねたものですが、原油とユーロは同じ方向に動きやすい関係が続いてきたことがわかります。その意味では、5月からユーロが一時急落となったのは、原油が急落したからでもあったわけです。
もちろん、日々の動きで、原油とユーロが違った動きになることも決して少なくないのですが、基本的な方向性という点では、うまく使えるものだと思います。こんなふうに、この一カ月程度のユーロの動きを比較的一貫性のある形で説明できるのは原油価格でした。

そんな原油価格は、この間100ドル前後での一進一退が続いていました。その中でユーロも1.4ドル台前半での展開となっていたのです。その意味では、1.45ドルを超えたユーロ高は、原油価格では説明しにくいもので、だから私は、ユーロ高は行き過ぎで、ECB早期利上げの有無にかかわらず反落する可能性があると考え、実際結果もそんなふうになったわけです。(了)

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2011.06.13 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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