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QE2とQE3で何が違うか

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

米長期金利の低下傾向が続いている。この背景には、景況感悪化、追加緩和のQE3期待など一年前との類似性がある。ただ、物価の方向性などは一年前と最近では決定的に違う。じつは、米長期金利3%割れは、QE3を織り込んだ意味のあるもの。物価の観点から、FRB(米連邦準備制度理事会)も、QE3織り込みを意味する長期金利3%割れは、必ずしも心地よくないかもしれない。

◆物価の方向性が違う
米長期金利が3%の大台割れ含みとなる中で、インフレ率(PCEコア価格指数の前年同月比)を引いた実質長期金利は2%の大台割れ含みとなってきた。これは、昨秋も一時見られた現象だが、景気後退、それに伴う追加緩和、QE3を織り込んだ意味になる。
一年前も、夏にかけて景況感が悪化、追加緩和期待、昨年の場合はQE2期待が広がり、実際、11月にFRBはQE2に踏み切った。最近にかけて景況感悪化が目立ち始めたが、その中で金利市場はすでにQE3に追い込まれると織り込んだ形になっているようだ。
ただ、一年前と最近では似ている点も確かにあるが、一方で違い、それも決定的な違いもある。それは物価の方向性だ。FRBが重視するPCEコア価格指数は、昨年末にかけて前年同月比の上昇率が1.8%から0.7%へ急鈍化となった。物価安定目標より低いとの判断から、FRBは追加緩和に踏み切ったということだろう。
しかし足元のコア価格指数は、前年同期比上昇率が昨年10-12月期の0.4%から、今年1-3月期は1.4%に加速した。これを見る限り、物価は底打ちから上昇へ転換しつつあるようだ。こういった中でのQE3織り込みを意味する長期金利3%割れの持続性はちょっと微妙ではないか。

◆米金利のアノマリー
そんな米長期金利は、過去10年間でじつに6月に8回、年間の天井ないし底値をつけていた。またこの多くは、月半ばまでの間に起こっていた。つまり米金利は、6月半ばまでに重要な基調転換を起こしやすかったというわけだ。
こんなふうに、米金利が6月、さらに半ばまでに基調転換しやすかったのは、一つにはFOMC(米連邦公開市場委員会)との関係もあっただろう。そのFOMCは今月下旬に予定されているが、果たしてその前までに米金利低下がクライマックスを迎えることになるか。
米長期金利は、90日移動平均線からのかい離率で見ても、次第に下がり過ぎ懸念が強くなってきた。その意味では、FOMC前にも、そんな下がり過ぎが一巡するなら、当面の米景気指標発表は一つの鍵を握ることになりそうだ。(了)

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2011.06.06 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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