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ドル高「平均以下」というリスク

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

ドル円が3月17日に78.9円の安値(終値ベース)を記録してから、5月20日で47営業日経過した。ところで、過去のドル高・円安局面における47営業日目の平均変化率を今回に当てはめるとドル円の理論値は83.1円程度という計算になる。その意味では、足元のドル相場は過去のドル高局面の平均をかなり下回っている。「平均以下のドル高」は、さらに平均からかい離しドル安に向かうより、確率的には平均回帰でドル高になる可能性が高いだろう。

◆目先83円以下なら「遅過ぎるドル高」
1988年以降の過去4回のドル高・円安トレンドについて調べたところ、ドル高が始まってから47営業日目のドル円の平均上昇率は5.4%だった。ところが、今回の場合、5月20日がドル高開始から47営業日目だったとすると、ドル上昇率は3.5%。つまり47日目のドル高としては、過去の平均をかなり下回っていることになる。
ちなみに、過去の平均変化率を今回に当てはめると20日の終値は83.1円程度という計算になる。目先的には83円台後半をドルが下回っていると「平均以下のドル高」、大きく上回ってくると「平均以上のドル高」ということになるわけだ。
もちろん、必ずしも平均ペースで相場が推移するわけではないが、平均に比べて上昇のペースが遅過ぎる場合はその修正でドル高が加速する可能性を秘めていると考えるのが基本だろう。

◆ドル円を支配する120日線取引
ヘッジファンドなどが重視するとされるドル円の120日移動平均線が、足元では82.4円程度での推移となっている。この水準をドルが上回ると、ヘッジファンドはドル買い戦略に転換するとされる。ドル円の目先の動向を左右するポイントになりそうだ。
ヘッジファンドの中でもモデル系ファンドは、120日線を重視するとされる。簡単にいえば、ドルがこれを上回るとドル買い、下回るとドル売りに傾斜するということ。
実際、ドルは3月末にこの120日線を上回ってきたが、ヘッジファンドなどの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の円ポジションは4月5日から売り越し(米ドル買い越し)に転じた。
そして、ドルは4月20日前後から120日線を割り込んできたが、円ポジションは売り越し拡大が4月19日で一巡し、急ピッチで縮小に向かった。ヘッジファンドなどが円買い戻し、ドル売りに転じた動きと一致した形となっていた。
円のポジションは、小幅ながら5月10日現在で3月末以来の買い越しに転じた。ドルが120日線を下回って推移している中で、円買い・ドル売りを続けてきた結果と考えると辻褄が合う。120日線は足元で82.4円程度となっているため、この水準を超えるまではドル売り継続、これを上回ってくるとドル買いへ戦略転換する可能性が高そうだ。(了)

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2011.05.23 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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