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豪ドル「異例の割高拡大」の終わり

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

豪ドルは、一時は90円前後、そして対米ドルではついに1.1ドルまで上昇した。このような「止まらない豪ドル高」の背景には、豪ドル高は経済政策的には正しい方向、むしろ「正しすぎる方向」ということがあるだろう。ただ、だからこそ「バブル」が発生するリスクも潜んでいるのではないか。

◆正しすぎる豪ドル高・米ドル安
豪ドルは、今でも高金利通貨として人気が高いわけだが、つい数年前までは貿易収支は赤字だった。このため、高金利の魅力で外国からおカネが集まり豪ドル高となっても、何かの拍子にそのおカネが逆流するととたんに急落するのが弱点だった。
しかし、2年ほど前から貿易収支が比較的コンスタントに黒字化するようになると、このような弱点はかなり克服された。貿易収支は資本に比べると安定的だから、何かの拍子に資本が豪州から一気に逃げ出しても、貿易黒字による豪ドル買いが一定の歯止めをかけるようになったわけだ。
他方、先進国で経常赤字の国は基本的に通貨安を容認するというのが、現在世界経済を議論するG20の考え方。この先進国で経常赤字というのが米国。こんなふうに見ると、豪州と米国はG20で志向される政策において対極的な立場にあることがわかるだろう。
かたや通貨高容認、かたや通貨安容認ということ。その意味では、「豪ドル高・米ドル安」はまさに正しい方向性だろう。しかしこんなふうに誰が見ても「正しい」豪ドル高・米ドル安だからこそ、誰もがそれに殺到する結果、行き過ぎ、「バブル」になるリスクがある。バブルというのは、強気、弱気が拮抗する中では起こらない。強気でも弱気でも、一方向に支持が偏る中でこそバブルは起こる。
豪ドルの適正水準、購買力平価との関係を見ると、適正水準よりかつてないほど豪ドル割高が拡大している。ちなみに、豪ドルの対米ドルでの購買力平価は0.69ドル程度だから、1ドルを大きく越えた最近の豪ドル高は、かつて経験したことのない空前の豪ドル割高ということになる。
かつて、2000年以前までは購買力平価からの割高率は1割を超えないのが当たり前だったが、ここ数年は3割前後まで拡大するのが当たり前になっている。これは構造変化の影響があるだろうが、それにしても割高率が5割前後まで達している状況はちょっと気になる。(了)

【参考リンク】
*注1.豪ドル円の購買力平価からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=5&CODE=AUDJPY#osatab

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2011.05.19 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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