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一年前の再現となったGW円高

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

ドルは、G7(7カ国財務相会議)協調介入以来の80円前後まで円高・ドル安に戻ってきました。これは、すでにドルが大底を打った上での「二番底」を確認する動きなのか、それともあの76円でもドルは大底を打っていない可能性はあるのでしょうか。いったんドル高・円安へ向かった相場は、ファンダメンタルズの変化を先取りしたのではなく、たんに「先走り」に過ぎなかったということもありうるのでしょうか。

◆ドル「二番底」か「底割れ」か
理屈としては、それは十分ありうることだと思います。なぜなら、これまで約4年続いてきたドル安・円高を支えてきた構図そのものは、まだ変化が確認されたわけではないからです。
この間ドル安・円高をもたらしてきた要因の一つは日本から見た内外金利差でした。世界一の低金利国・日本から見た内外金利差は、かつては大幅に開いていましたが、2008年からの「100年に一度の危機」の中で世界的に利下げが進み、そんな内外金利差も急縮小しました。
とくに日米金利差はほぼゼロとなったのです。「資料1」はそんな日米政策金利差と円のポジションの関係を見たものですが、円売り・ドル買いが、このグラフで5万枚以上といった具合に本格的に拡大するには、日米金利差の大幅な拡大、具体的には金利差ドル優位が2-3%以上に拡大することが必要でした。
ところが、最近の日米金利差は依然としてほとんどありません。「資料1」を見ると、このように金利差がほとんどない割には、最近の円売りはちょっと拡大し過ぎの懸念もありました。同じように、金利差がない中で円売りが拡大したのは昨年5月にもありましたが、その後はいくつかのアクシデントが重なったこともあって急激な円高となりました。
今年の場合も、GW最終日の5日、ドル円、クロス円は急落となりました。直接的なきっかけとしては、ECB(欧州中銀)総裁会見や、新規失業保険申請件数の悪化などを受けた株価急落などがありましたが、こんなふうに見ると、基本は金利差という裏付けない中での円売られ過ぎの反動といった意味で、一年前と同じ構図だったと思います。
こんなふうに、まだドル大底打ちすら予断許せないだけに、この動きがあくまで大底打ちを再確認する、「二番底」ということなら、再度の円売り介入がやはり重要な鍵を握ることになりそうです。(了)


<資料1>
20110506.gif

2011.05.06 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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