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続々・基調転換しやすい春相場

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

米利上げ前にはドル高が進むパターンがある。昨年12月からのドル高が、このパターンに沿った動きなら、5-7月にかけ98円、1.28ドルを目指すシナリオということになる。3月はドル高の結果となったが、例年、基調転換が起こりやすいこの4月だけに、そんな「利上げ前のドル高」に向かっていくかを考える上での「最終関門」といった位置付けになりそうだ。

ドル円が逆に動きやすい「春相場」

 下表は、ドル円の2カ月の方向性が過去10年間で何回一致したかを調べたもの。これを見ると、3-4月のドル円は、10年間でじつに9年が逆方向に動いていたことがわかる。3月が円高なら4月は円安、またはその逆といった具合に、ほかに比べてドル円が逆に動きやすい「春相場」といえるだろう。
 ところで、そんな「春相場」を集約したタイミングが、3月末、4月初めになることがこれまでは多かったようだ。3月末は日本企業の決算期末で、為替はレンジ相場が続くものの、4月新年度入りに当たり一方向に抜け出した相場はすぐに行き詰り、結果としてレンジ放れが「ダマシ」になることが少なくなかった。
 たとえば、昨年も基本的にそんな動きだった。昨年は4月初めにかけてドルは100円を突破、一段高期待が強まったものの、結果的には4月初めの101円台でドルは頭打ちとなってしまった。
 誰もが間違いないとの見方で一致した相場観が、あっさりと裏切られる。そんな「裏切りのシーズン」の代表例は、2004年3月だった。この当時は、2003-2004年と、日本政府がデフレ下の円高回避で未曾有の規模で円高阻止介入を続け、それでかろうじて円高は105円で歯止めがかけられていた。
 ところが、そんな「異常な介入」が3月前半でどうやら中断したようだ。ただ、一年以上も続いてきた「異常な介入」の終了は、為替市場もにわかには信じられなかったようだ。もしかしたら「やめたふり」に過ぎないかもしれない。そもそも3月末は決算期末だけに、取引は手控えられ、介入不在の中でも円高は不気味な小動きが続いた。
 しかし、3月末の日本時間午後に入り、日本企業が実質的に新年度入りとなると、いよいよ「異常な介入」の終了を試す機運が広がった。その当時の感覚からすると、ドル安・円高が105円で止まっていたのは介入で人為的に支えられていたためであり、その介入がいなくなったらドルは100円を割り込み、どこまで下がっても不思議ないというもの。
 実際に、105円を割れると、ドルは104円台を素通りし、一気に103円台へ急落した。それでも、為替介入という「鬼」は出現しなかった。「鬼」がいなくなったことを確認した以上は、103円台もドル一段安の「通過点」に過ぎない、それが当時のコンセンサスだっただろう。
 しかし、このコンセンサスはあっけなく裏切られることになった。「鬼」が出ない中で、103円台でドルがいったん底を打つと、それはその後半年もドル底値の記録として破られることはなかった。

「利上げ前のドル高」最終関門になる4月

 さて、そんな「裏切りのシーズン」に、今年はドル高・円安で突入した。ドルは1月半ばから続いてきた88-92円のレンジを上放れした感じになったが、それを受けた一段のドル高・円安見通しは「裏切られる」ことになるのだろうか。
 米利上げとドルの間には、「利上げ開始前のドル高」、「利上げ開始後のドル安」という経験則がある。そして「利上げ前のドル高」は、過去のパターンを参考にすると、2-6カ月で10-15%展開するのが基本だ。
 さて、今回のドル高は、昨年12月85円、1.5ドルから始まっているわけだから、かりに8月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを織り込む動きなら、5-7月頃に94-98円、1.28-1.32ドルといった目標で展開している「利上げ前のドル高」ということになる。
「裏切りのシーズン」を無事通過し、年初来のドル高値93円台を大きくドルが上回っていくようなら、「利上げ前のドル高」が続いているということだろう。それともそんな相場観が「裏切られる」ことになるのか。大きな正念場に差し掛かっているのではないか。 (了)

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2010.04.05 | コメント(0) | トラックバック(0) | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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