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円売りが足踏み、反転となった裏事情

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

投機筋の円の売り越しが拡大してきた。ただ、経験的には日米金利差がほとんどない中では、これ以上円売り・ドル買いが本格化、継続化するのはちょっと難しい状況になってきたようだ。

◆金利差では限界に達した円売り
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、投機筋の円ポジションは、4月12日現在で5.2万枚に拡大してきた。円売り越しが5万枚を越えてきたのは昨年5月以来だ。ところで、その昨年5月は、売り越しが6万枚に達したところで拡大一巡、縮小に転じた。これは、一つには日米金利差がほとんどない中での円売り・ドル買い継続が限界に達したということではなかったか。
実際、円売りと日米金利差の間には一定の関係がある。簡単にいえば、金利差ドル優位が大幅に開いた状況でなければ、円売り・ドル買いの本格化、継続化は難しかったということだ。経験的には、CFTCの投機的円売り越しが5万枚を大きく超えていったこれまでのケースでは、日米政策金利差ドル優位は3%以上といった具合に大幅に開いていた。
こんなふうにみると、昨年5月に、投機的円売り越し拡大が6万枚で一巡したのは、日米政策金利差がほとんどなかった中では当然といえるだろう。さて、その日米金利差は最近でもほとんどない。そういった中では、投機筋の円売り・ドル買い拡大もちょっと微妙な段階に入っているのではないか。

◆円高60円不変のSチャート
日米中央銀行の資金供給量の差とドル円の関係に注目した「ソロスチャート(Sチャート)」によると、この間ドル安・円高となったのは、大幅なドル余りになっていたからだが、それはまだ最近でも大きな変化はないようだ。
日米中央銀行の資金供給量の差からすると、60円程度までドル安・円高になる可能性があることがこのグラフからわかるが、それは3月の東日本大震災などを受け、日銀が一段と資金供給拡大に動いている中でも、一方のFRB(米連邦準備制度理事会)がQE(量的緩和)を続けている中では大きく変わっていないようだ。
相場は実態経済の変化を先取りして動く場合があるが、一方で実態経済に大きな変化がない中では、その「先取り」が何度か失敗を繰り返すのも当然だろう。それが「二番底」、「三番底」といった動きになるだろうし、場合によってはまだ大底を打っていなかったということも、理屈としては十分ありうるものだ。
こんな理解があれば、相場の予想が当たった時は当然だが、外れた時でも意外に納得感があり、ネクスト・チャンスにチャレンジしようといった気持になれるのではないか。(了)

【参考リンク】
*注1.円のポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=JPN#osatab


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2011.04.21 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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