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ドルの「二番底」シナリオ

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

対円でドル反落となってきた。かりに、あの3月17日に記録した76円台がドルの歴史的安値、「一番底」だったとしても、同じく「歴史的安値」を記録した1995年4月79円台から「二番底」を試す動きになった例などを参考にすると、今回の「二番底」も深押しになる可能性は一応要注意だろう。

◆歴史的安値のアナロジーを参考にすると
1995年4月19日に79.75円でドルが歴史的安値を記録した後は急反発が広がった。ドルはその後5月22日の87.78円まで上昇したのである。23営業日で最大上昇率は10.1%に達した。ただ、ここで反発が一巡すると、その後の5営業日でドルは7%弱の反落となった。結局、これが「二番底」だったわけだが、5月22日の高値を更新するまでは37営業日、2カ月弱も要したのである。
さて、今回3月17日の76.25円からドルは上昇が続いたが、これまでのところ4月6日85.53円がドルの戻り高値だ。14営業日でドル最大上昇率は12.2%に達した。こんなふうに、1カ月前後といった短期間に1割程度もの大幅反発となるのは、1995年とともにドル「歴史的安値」を記録した後の共通点かもしれない。
このように、歴史的な安値を記録した後の値動きがある程度似ると仮定すると、ドルは今後1週間程度といった短期間に結構な反落に向かうことになる。1995年の「二番底」へ向けた反落と同じように7%のドル反落になるなら80円前後までドルは反落する計算になる。その上で、4月6日に記録した高値85.5円を更新するのは5月末-6月初め以降といった見通しになる。

◆誤解だらけの「レパトリ」
ところで、そんなドル「二番底」に向かわせるきっかけの一つは「レパトリ」ではないか。
財務省統計によると、76円台まで円高・ドル安が進んだ3月13日週の対外証券投資は資本流出超過だった。つまり「レパトリ」で、国内への資本還流が拡大した結果の資本流入超過ではなかったわけだ。そんな資本流出超過は、3月20日週も続いた。
ところが、3月27日週は一転して1兆円を超える大幅な資本流入超過となった。この主因は、対外中長期債投資の売却が4兆円超といった具合に、2009年9月以来、約1年半ぶりの大幅に拡大したことだ。その意味では、保有外債を売却し、国内へ資金を引き揚げる、まさに「レパトリ」が起こっていた可能性があるだろう。
3月中旬に、「レパトリ」は実際には起こっていなかったようだが、一方で、3月末には、統計で見る限り「レパトリ」は起こっていた。この間の大きな変化の一つは円相場だ。80円を割れる一段のドル安・円高となる中で「レパトリ」は起こらず、一方85円へ向かう一段のドル高・円安が広がる中では「レパトリ」が起こっていたということだ。
かりに、3月末から4月初めにかけて「レパトリ」による円買いが発生していたとして、それを投機の円売りが吸収していたとするなら、今後はその反動がどこかのタイミングで入る可能性も注目されるのではないか。(了)

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2011.04.14 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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