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これが円安の基本シナリオだ

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

日本の貿易収支が急悪化するとの見方が強まってきた。早ければ7-9月期にも赤字に転落、その後も中期的に貿易赤字が拡大するとの見方もある。円の安全資産神話の大前提である貿易黒字国通貨といった評価が大きく変わる可能性が出てきた。

◆貿易赤字通貨になる円
1995 年に阪神大震災が発生した後は貿易赤字が急減に向かった。1年程度で、阪神大震災前までは1兆円を越えていた当時の貿易黒字は半減したのである。これは、輸入が急増したことが主因だった。このため、今回の東日本大震災を受け、今後は輸入の急増が予想される。一方で、輸出製品の生産ラインへの打撃が大きかったことから、輸出の伸び悩みは今回の方がより顕著になると見られている。
そもそも貿易黒字は、2月が6千億円で、1兆円を越えていた阪神大震災前に比べて半分程度にとどまっている。その上で、これまで見てきたように輸入急増は変わらず、輸出の伸び悩みがより深刻になるとすれば、貿易黒字から赤字へ転落に向かうとの見方が強い。早ければ、7-9月にも貿易収支が赤字化するとの見方もある。
これは為替相場への影響も大きなものとなりそうだ。そもそも円は貿易黒字国通貨として評価されてきた。デフレが長期化し、世界一の低金利通貨、財政赤字大国であるにもかかわらず、リスク回避局面では安全資産として円が選好されるのは、民間貯蓄超過、貿易黒字が大前提となっていた。その大前提が変わるとなると、円安が進みやすくなる可能性が高いだろう。

◆2012-2014年にかけて95-140円
1988 年以降で円安・ドル高基調は4回あった。その継続期間は、1年5カ月-3年4カ月で平均2年4カ月だった。その中でのドル上昇率は、22-83%、平均 42%だった。こういったことからわかるのは、円安基調は最短でも1年5カ月、平均は2年4カ月続き、その中でドルは最低でも22%、平均42%上昇するということだ。
さて、これを3月76円台から円安基調が始まっているとして当てはめてみると、今回の円安は最短でも2012年8月にかけて93円程度まで続く見通しになる。平均的な円安シナリオが展開するなら、2013年7月にかけて108円まで円安が続くといった見通しになる。
ちなみに今回調べた中で「最大の円安」は、1995年4月から1998年8月にかけて80円から147円まで円安となったものだ。この円安基調は3年4カ月続き、その中でドルは何と8割もの上昇となった。初めて100円を突破した円高、「超円高」が起こった後の反動局面だった。
さて、今回はその時の円高・ドル安記録を更新、「超円高」再現となった。「超円高」の反動だけに、円安も3年4カ月、ドルは8割も上がるなら、2014年7月にかけて140円近くまで円安・ドル高が続くといった計算になる。
ところで、ドルは1980年代半ば以降、日米の生産者物価で計算した購買力平価が基本的に上限となってきた。それは現在105円程度。その意味では、今回の円安・ドル高基調も、目一杯展開しても110円を大きくドルが上回ることは考えにくいということになるが、果たしてどうか?(了)

【参考リンク】
*注1.ドル円の購買力平価からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=5&CODE=USDJPY#osatab

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2011.04.07 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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