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トリシェ・コードとユーロ上がり過ぎ

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

7日のトリシェECB(欧州中銀)総裁の記者会見を受けて、金融市場では、ECB再利上げが5月はないものの、6-7月にはありうるとの見方になったようだ。

◆3つの「暗号」使い分けるECB総裁
これは、ECBウォッチャーたちの間で意識されている「暗号」からの判断。トリシェ総裁は、3種類の「暗号」を意識的に使い分けているとウォッチャーたちは考えている。具体的には、「strong vigilance」、「monitor very closely」、「monitor closely」。このうち今回トリシェ総裁が使ったのは「monitor very closely」で、これは経験的には再来月以降の利上げの可能性を示唆してきたものだからだ。
トリシェ総裁は、よほどのことがない限り来月利上げすると考えている場合は、「strong vigilance」を使う。3月の記者会見はまさにこの表現を使い、そしてこの4月利上げとなったわけだ。一方、まだ利上げを決めていない場合は「monitor closely」を使うのがこれまでの基本だった。今回もこの表現が使われたら、次の利上げはまだ決まっておらず、近くないかもしれないと受け止められたはずだ。
ところが、今回使った「暗号」は、「monitor very closely」というもの。この結果、よほどのことがない限り、来月、5月利上げは決まっていないが、かと言って当面の利上げがまったくないということではないということを示唆したとの受け止め方になっている。早ければ、5月の記者会見で、「strong vigilance」と語り、6月にも再利上げがありうるとの見方になっているようだ。

◆ユーロの上がり過ぎ、買われ過ぎ
それにしても、円全面安となる中で、さすがにクロス円の一部には短期的に上がり過ぎ(円下がり過ぎ)懸念が強まってきた。とくにユーロ円は、経験的に上がり過ぎ警戒域に近付いて来たようだ。
ユーロ円は、90日移動平均線からのかい離率でみると、経験的に±10%以内で推移するのが基本だ。1999年の欧州統一通貨、ユーロ誕生以降でも、同かい離率が±10%以上に拡大したのはきわめて少なかった。
そんな90日線からのかい離率が、先週はプラス8%を超えてきた。90日線は、8日現在で112.5円程度だから、かい離率プラス10%は123-124円程度といった計算になる。短期的には、かなり上がり過ぎ警戒域に近付いて来た可能性がありそうだ。
その他のクロス円でも、豪ドル円、NZドル円などの90日線からのかい離率がプラス7%前後に拡大してきた。こちらも上がり過ぎ気味になってきたといえるだろう。
このように、クロス円の中でも短期的な上がり過ぎ警戒度が最も高くなってきたユーロ円だが、ユーロドルでみると、90日線からのかい離率はプラス5%程度だ。ただし、そもそもユーロドルの同かい離率はこれまで一度もプラス10%を超えたことがなかった。その意味では、対ドルで見ても、ユーロは上がり過ぎ気味になっているとはいえるだろう。
そんなユーロは、CFTC(米商品先物取引委員会)統計で見ると、買い越しが先週までに5万枚以上に拡大し、買われ過ぎ気味にもなってきた。今夜のECB(欧州中銀)利上げをにらみながら、ユーロ急上昇が続いているが、行き過ぎ懸念もちらつき始めてはいる。(了)

【参考リンク】
*注1.ユーロのポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=EUR#osatab

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2011.04.11 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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