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「希望の円安」と「絶望の円安」

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

外貨運用商品として根付いてきた個人の為替取引、FXにも大震災後の混乱が影響する可能性が出てきたようだ。税収減の可能性があることから、2012年からの取引所FXとの税制格差見直しが棚上げになる可能性が取り沙汰されている。レバレッジ上限規制強化と合わせ、店頭FXにはマイナス要因になる可能性がある。ただ、為替が円安基調へ転換するようなら、FXも含めた外貨運用商品の必要性は、それらマイナス要因を無関係にする可能性すらあるのではないか。

◆取引所FXとの税制格差見直しは廃案か
取引所FXと店頭FXの税制格差の見直しは、来年度の税制改正案に盛り込まれ、レバレッジ上限が昨年の50倍から、今年はさらに25倍へ引き下げられ、FX人気の低下につながりかねないことを懸念していた店頭FX業者の間では待望の対象となっていた。
しかし、東日本大震災以降の深刻な経済的ダメージの復興のためには、財政政策発動への期待が強くなる。その中で税収の減少につながりかねないものは、民主党政権の経済政策の目玉として位置付けられていた法人税引き下げなども見直される機運となっている。その中で、FXの税制一本化も、廃案になる可能性も出てきたようだ。
一方で、レバ規制の強化は、3月に入ってからの株式・為替相場の乱高下で大口の損失が発生したこともあり、投資家保護の観点から予定通り実行される見通しとなっている。レバ規制強化は一旦織り込んだものながら、店頭FX業界が待望していた税制一本化も棚上げになると、想定以上にFX人気低下をもたらしかねないとして警戒感もあるようだ。
こういった中、為替相場の基調変化は、まだ想定不十分ながら大きな影響をもたらす可能性があるかもしれない。要するに、2007年から4年近く続いてきた円高が終わり、円安への転換が始まっている可能性があるということだ。この円安、一旦始まったら、経験的には2-3年続き、その中でドルは3割前後上がるのが基本。2013-2014年にかけて100円に向かう円安が始まっている可能性がある。

◆当局者たちが懸念する円の暴落
さて、そんな円安は、FXにかぎらず投資全般における「希望」になるか。3月下旬、ある大物財務省OBを囲む非公式な会合が開かれた。その中で、あのG7(7カ国財務相会議)協調介入で、欧米などは85-90円までの円安誘導も容認する雰囲気だったが、そうしなかったのは当局者達の本音として円暴落への懸念があることが話題になった。その意味では、円安は「絶望」なのか。
ドルは適正水準の目安である日米生産者物価の購買力平価を現在2割程度下回っている。その意味では現在の水準は適正な水準よりドル割安・円割高だ。この購買力平価は現在105円程度だが、これは適正水準というより、経験的には過去四半世紀ドル上限、円下限となってきた。要するに100円程度は「自然な円安」だろう。希望か絶望かの議論は、その先からの話になるだろう。(了)


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2011.04.04 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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