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パニック相場で考えるこの先のシナリオ

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

3月17日、ドルが対円での史上最安値を更新した後の急落で、この日のドル最大下落率は4%以上に達した。豪ドルなど一部のクロス円も記録的な急落となり、まさに「パニック」が起こったわけだ。

◆パニック相場のアナロジー
ところで、このようにドルが対円で一日に4%以上もの急落となる「パニック相場」は、ここ数年何度か起こっている。そしてそんなパニック相場は、その後結構似た動きとなっていた。
ここ数年の代表的なパニック相場の一つは昨年5月6日、日本のゴールデンウィーク明けに起こったもので、この日ドルは対円で最大6%以上の急落となった。そしてもう一つのパニック相場は、2008年10月24日に起こったもので、この日のドルの対円最大下落率は何と7%以上に達した。
ところで、そんな代表的なパニック相場が起こった後のドルのグラフを重ねてみると結構似ている。パニック相場で急落したドルは、じつはすぐに急落前の水準まで戻した。それ以上にどんどん反発するわけではなかったが、それでも急落後の安値を更新するのは30営業日以上、つまり1カ月半から2カ月もかかっていた。
さて、今回のパニック相場も、パニック相場の翌日、G7(7カ国財務相会議)による緊急声明、協調介入があったことから早速パニックが起こる前の水準を回復した。ただこんなふうにパニック相場がすぐに元に戻るというのは、パニック相場の典型的なパターンでもある。
ちなみに、2008年、2010年のパニック相場におけるドルが、パニック直後すぐに元に戻るきっかけになったのもG7緊急声明だった。さすがに一日に5%以上ものドル急落が起こると、「過度の変動、無秩序な動き」として、G7も緊急に対応し、それをきっかけにいったん元に戻るということだろう。
今回は、それに加えて、対円でのドル史上最安値更新、そして大震災や原発不安など「日本クライシス」といった不安感が渦巻くところとなったことから、16年ぶりとなる協調介入も実現した。それにしても、ここまで似ているパニック相場のパターンがこの先も続くなら、今回のパニック安値、76円台をドルがかりに割り込むとしても5月以降といった見通しになるが、果たしてどうか?

◆重大事件と相場の関係
1900年代に起こった約30の「危機」後のNYダウの反応に関するある調査によると、それには1941年真珠湾攻撃、1963年JFK暗殺、1991年湾岸戦争、等々が含まれていたが、「危機」直後NYダウは平均7%下落したものの、1カ月後には4%上昇、そして3カ月後には7%上昇していた。
米国のケネディ大統領暗殺事件は、現職大統領暗殺といった重大事件だった。当時の米国も、得体の知れない不安感に覆われ、株も底なし沼のように沈み込んでもおかしくなかったように想像するが、そうではなかったということだ。
こんなふうに、「危機」直後こそ株価も急落するが、3カ月もすると元に戻っていたわけだ。相場とは経済ファンダメンタルズで決まるものであり、重大ニュースで決まるということではないと考えると、このような調査結果も納得しやすいだろう。
このように「危機」をきっかけに起こった相場は、3カ月で元に戻る、つまり、相場用語でいうなら「いって来い」になるならば、ドル相場も、今後2-3カ月であの「パニック安値」である76円台を下回らないことも考えられる。むしろ、2007年6月の124円から3年9カ月も続いてきた今回のドル安・円高基調の完了を確認することになる可能性すらあるのではないか。(了)

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2011.03.24 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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