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「3・11」へ「9・11」からの教訓

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

「3・11大震災」の後、為替は円高が急拡大しました。これを受けて、被災国通貨が通貨高となるのは珍しくない、阪神大震災の後もそうだったといった解説を沢山聞くところとなりました。

◆「9・11」後3兆円に達した日本の介入
阪神大震災が起こったのは1995年1月でした。この震災当日99円程度で推移していたドル円は、その後4月にかけて80円へ円高となったのです。そしてこんなふうに震災でも通貨高になるのは、円に限ったことではありませんでした。
今年1月の豪州大洪水はまだ記憶の新しいところでしょう。経済的悪影響が懸念され、対米ドルで1.02ドルから一時0.98ドル台まで売られた豪ドルでしたが、その後は1.02ドル近くまで戻してきました。
こんなふうに被災国通貨が急落するのではなく、むしろ上昇するのは、復興需要を期待した買いだとか、不透明感を警戒し資本取引が手控えられる中で貿易取引の影響が大きくなるためだとかがよく指摘されるところです。
とりわけ日本の場合は、経常黒字国であり、対外債権国です。しかも3月末決算が目前に迫っているタイミングでもあり、国内への資金引き揚げ、キャッシュ化により円買いが発生しやすいということはあるでしょう。
それにしても、今回の場合、すでに十分円高になっている中で、大震災ですら円安になるどころか円一段高となってしまうのは「困る」というのが正直なところではないでしょうか。震災とは違いますが、歴史的大事件発生で、金融市場が「困った動き」になった例は、2001年9月11日、米同時多発テロ事件後のドル急落でした。
米国が震えたこの「9・11」の後、株式市場は一週間の休場を決めましたが、世界で取引されている為替市場を閉じるわけにはいかず、その中でドルは売り浴びせられたのです。これに対して、日本がドル買い・円売り介入に出動しました。
その結果、「9・11」発生前に120円を推移していたのに、直後一時115円まで急落したドルは、協調介入で反発に転じ、翌2002年2月にかけて逆に135円までドル高・円安へ向かっていったのです。
ちなみに、この「9・11」という国難の当事国は米国だったわけですが、なぜ米国ではなく、日本がドル買い介入に動いたのかというと、金融政策との整合性があったからではないでしょうか。テロを受けて株が急落した米国では緊急利下げに動いたわけですが、その中では金融引き締め効果となるドル買い介入に限界があったということです。
今回の場合も、金融引き締め効果となる自国通貨買い介入より、金融緩和効果になる円売り介入を行う日本が最も介入において持続性が高いと思います。昨年9月に、約6年ぶりに行われた日本の介入は1回で終わりましたが、今後も相場の状況次第では介入を継続する可能性はあるでしょう。
またすでに円も買われ過ぎ気味だということ、そしてドルは空前の売られ過ぎになっている可能性があるということなどを考えると、そういった円高・ドル安阻止の介入も効果が期待できるのではないかと私は思います。(了)


<資料>
20110322.gif

2011.03.22 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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