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「震災円高」とドルの売られ過ぎ

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

東日本大震災の中で円高の動きとなったが、その裏でドル売り自体もかなり「行き過ぎ」懸念が強くなっているようだ。

◆試されるドル売りの持続力
ヘッジファンドなどの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、米ドルのポジション(非米ドル主要5通貨=日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドル)は3月8日現在で21.4万枚の売り越しだった。確認できる2004年以降で、米ドルの売り越しが21万枚を越えたのは今回が初めて。その意味では、過去最大のドル売りになっているといえそうだ。
このドル売り越しの中心は加ドル買い、ユーロ買い。加ドル買い越しは7万枚を越え、ユーロ買い越しも、2007年12月以来の6万枚突破となった。また、スイスフラン買い越しも、過去最大規模に拡大している。
円の買い越しは3月1日には4万枚を突破。経験的に5万枚前後で買われ過ぎ懸念が強くなることを考えると、円買いの行き過ぎも注目されたが、3月8日現在では買い越しが2万枚以下に縮小した。ただ、3月11日の大震災以降、円一段高となったことから、円買い越しも再拡大している可能性があるだろう。
大震災発生後の円高は、3月末決算を控えた外貨資産の引き揚げ、キャッシュ化などに伴う円買いの影響が大きいと見られているが、その一方で投機ドル売られ過ぎがどれだけ持続できるかも一つの焦点になっている。

◆豪ドル急落の裏事情
こういった中で、日本の投資家に人気の高い豪ドルも80円を大きく割り込む急落となつた。GDP世界第3位の日本経済への不安が広がる中で、リスク回避から「買われ過ぎ」気味になっていた通貨へ売り圧力が高まっているということだろう。くわえて豪ドルは、適正水準よりかなり割高になっていただけに、割高修正の下落リスクも気になる。
ここに来て、世界経済に大きなポジションを占める日本経済への不安感が拡大し、日本の投資家中心にリスク回避が急拡大している。そういった中では、利益が膨らんだ外貨を売却する動きが増えるのはわかりやすいが、豪ドル売りにもそういった影響があると見られる。
ところで、そんな豪ドルはこの間適正水準の目安である購買力平価からかなり割高が目立っていた。対円相場では購買力平価より2割程度、対米ドル相場では同4割以上といった具合に空前の豪ドル割高拡大となっていた。そんな割高の反動も広がるようなら、下落リスクに警戒が必要だろう。(了)

【参考リンク】
*注1.円のポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=JPN#osatab

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2011.03.17 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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