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昨年「GWパニック」との不吉な類似

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

昨年のゴールデンウィーク(GW)明け、ドル円、クロス円が急落する「パニック相場」が起こった。じつは、この時、内外金利差の割には円売りのポジションが大きく膨れていた。それが「パニック相場」にどれだけ影響したかはわからないが、最近もその点の構図が似ているのはちょっと気になる。

◆裏付けなき円売りの脆さ
昨年の日本のGW中、ドルは5月4日に95円寸前まで上昇していた。ところが、5月6日には88円割れへ急落した。たった2営業日で7%の急落といった「パニック相場」が起こった直接のきっかけは、ギリシャが主役を演じた欧州財政不安と、その中での欧米株価急落だった。
ただそういったきっかけを受けて急激な円買い戻しが殺到したのは、そもそも「無理な円売り」の影響もあったのではないか。ドルが95円寸前まで上昇した昨年5月4日時点で、投機筋の円売り越しは6万枚以上に拡大していた(CFTC=米商品先物取引委員会統計より)。日米金利差がほぼゼロの中で円売り越しがこのように5万枚を大きく越えたのは異例だった。
経験的には、投機筋の円売り越しが5万枚を超えるのは、日米金利差ドル優位が2-3%以上といった具合に大幅に開いた場合にしか起こらなかった。その意味では、昨年GW当時の円売りは、金利差の裏付けがない大幅な円売りといった点では「無理な円売り」で、それがいくつかのアクシデントをきっかけに円買い戻し殺到を招いた結果が「パニック相場」をもたらしたということではなかったのか。
CFTC統計によると、投機筋の円売り越しは、先週にかけて5万枚を越えた。日米金利差がほとんどない中での大幅な円売りという意味では、昨年GWの時の「無理な円売り」の構図に似ている。ちょっと「危うさ」を秘めている可能性はある。

◆HFが重視する120日線82.7円の重要性
ドルが120日移動平均線を大きく下回った状況が続いている。この120日線は、代表的な投機筋であるヘッジファンド(HF)が重視すると見られている。そのヘッジファンドは、少なくとも先週まで比較的大きくドル買い・円売りに傾斜していた可能性があった。その巻き戻しのドル売りにくわえ、120日線をドルが下回っている中では、ドル売り・円買い拡大に動く可能性も要注意だ。
ヘッジファンドの中でも、モデル系ファンドはとくに120日線を重視した取引を行うとされる。実際、この数カ月でも、ドルが120日線を上回るとドル買い、下回るとドル売りが強まる傾向があった。その120日線は、直近で82.7円程度。21日にかけて、ドルが120日線を大きく下回っているだけに、ヘッジファンドのドル売りの動きは注目される。
そんなヘッジファンドは、上述のように少なくとも先週まではドル買い・円売りに傾斜していた可能性があった。ヘッジファンドの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、円のポジションは約1年ぶりの大幅な売り越しとなっていたのである。
ドルが120日線を割り込む中で、そういったドル買いのポジションを縮小してきたと見られるが、なお120日線をドルが下回る状況が続くようなら、ドル売り越し拡大で、ドル売り戦略を本格化する余地は十分ありそうだ。(了)

【参考リンク】
*注1.円のポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=JPN#osatab

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2011.04.25 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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