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こんな豪ドル反落の事情を知っていますか?

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ・吉田 恒

FXなどで日本の個人投資家に人気の高い豪ドルがこのところ上値の重い値動きになっています。これには、豪州大洪水や金相場下落の影響もありますが、そもそも対円ではわかりにくいものの、対米ドルなどで「異常な」上がり過ぎになっている影響がありそうです。

◆「2つの顔」の豪ドル高
豪ドルは、対円では2008年の高値をまだ2割も下回った水準で推移しています。しかし対米ドルではすでに2008年の高値を大きく更新しました。こういったことからも想像できるでしょうが、豪ドルの過熱感、「上がり過ぎ」懸念は、対円と対米ドルではまったく異なっています。要するに、対円での豪ドルに「上がり過ぎ」懸念はありませんがが、対米ドルでは明らかに「上がり過ぎ」警戒域に入っているということです。
これは5年移動平均線からのかい離率で見るとわかりやすいでしょう。豪ドルの5年線からのかい離率は、対円でも対米ドルでも経験的にプラス20%を超えると中長期的に「上がり過ぎ」警戒域です。直近の5年線からのかい離率は、対円は小幅マイナスなのに対し、対米ドルのそれはプラス20%を超えているのです。対円の豪ドル高に過熱感はないが、対米ドルのそれは過熱感要注意といえそうなのです。

<資料1>
20110131_1.gif

<資料2>
20110131_2.gif

過熱感のない対円と、過熱感の強い対米ドルといった豪ドル高の「2つの顔」ですが、どちらが豪ドルの「本物の顔」なのか。豪ドルの総合力を示す実効相場の5年線からのかい離率は、経験的にプラス10%を大きく超えてくると「上がり過ぎ」警戒域ですが、それが昨年末時点でプラス14%まで拡大していました。その意味では、豪ドルの総合力も「上がり過ぎ」警戒域に達しているようなのです。

<資料3>
20110131_3.gif

豪ドルが最近にかけて上昇一服気味になっているのは、以上のように見てくると、対米ドルなどで上がり過ぎの限界圏に達してきた影響があるでしょう。対円での豪ドル高に必ずしも過熱感はありませんが、対米ドルなどでの上がり過ぎ修正となった場合に、それに巻き込まれるリスクは要注意ではないでしょうか。

◆対米ドルでの豪ドル割高の「異常」
もう一つ、別な観点でも見てみましょう。豪ドルの対米ドル相場は、適正水準である購買力平価からちょっと「異常な」割高になっています。豪ドル高の限界、反動リスクを考える上では注目されるものでしょう。
豪ドルの対米ドル相場は、適正水準の目安である購買力平価より昨年12月末時点で5割以上もの割高になっていました。豪ドルの対米ドル相場の購買力平価からの割高率は、リーマンショック前後で豪ドルが大暴落となる前にも3割以上に拡大しましたが、最近の割高率はそれを大きく上回っていることになります。

<資料4>
20110131_4.gif

<資料5>
20110131_5.gif

豪ドルの対円相場も、購買力平価より割高になっていますが、これまで見てきた対米ドル相場のそれよりははるかに小さいものです。昨年12月末時点の、豪ドルの対円相場の購買力平価に対する割高率は2割弱でした。2008年夏にはこの割高率が3割前後にも達したのですが、今回はまだそこまでには至っていません。
こんなふうにみると、豪ドルは全体的に適正水準より割高になっていますが、とくに対米ドル相場での適正とされる水準からの割高具合は、ちょっと異常な感じになっていると思います。このところ豪州大洪水などの影響で、豪ドル高も足踏みとなっていますが、こういった異常な割高の影響もあらためて注目されるところでしょう。

◆「中国発パニック」、最初のXデーとは?
豪ドルは対円で数週間から数カ月といった短期間に2割程度以上の急落が、この数年間では2008年夏以降、2010年春以降と2度経験しました。この2つのケースに共通していたのは、そもそも割高になっていたということとともに、「買われ過ぎ」警戒域に達していたということです。
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、豪ドルの買い越しは6万枚前後以上になると「買われ過ぎ」警戒域です。最近はまさにその点でも、反動が入りやすい状況になっていたと思います。

<資料6>
20110131_6.gif

そして、もう一つ、上述の豪ドル急落2ケースに共通していたのは「パニック」との遭遇でした。2008年はリーマンショック、2010年は日本のゴールデンウィーク明け直後の金融市場パニックに巻き込まれ、豪ドル割高修正の急加速となった結果が豪ドルの急落、暴落をもたらしたわけです。
私はかねてから、最近の中国の状況は20年前の日本のバブル破裂前後に似ているから要注意ではないかと考えてきました。そんな中国ですが、2月前半は旧正月で株式市場は休場となります。ただ、ここ数年、この旧正月明けには株式相場の下落が拡大するパターンが目立っているので、「中国発パニック」では最初の試金石になるかもしれません。(了)

<資料7>
20110131_7.gif

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2011.01.31 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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