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「大相場の秋」と年内のドル安余力

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

対円でドルが年初来安値更新となったが、それでもまだ今年の値幅はようやく10円を上回ってきた程度にとどまっている。比較的小幅な値幅にとどまった昨年並みの16円に拡大するだけでも、ドル安・円高は80円を割り込む計算になる。

◆年末までに円高は75-80円へ?!
ドル円の年間平均値幅は20円弱(1988年以降)。その中で、今年のように米中間選挙の行われる年の値幅平均は22円で、比較的大きく動く年だ。今年の場合は、83.5-94.9円で、これまでのところの最大値幅は11.4円と、まだようやく10円を越えたに過ぎない。年間平均値幅まで拡大するかはともかく、年末までに値幅の拡大余地が残っていることは間違いないだろう。
ちなみに、昨年の年間値幅は16円。その前年がリーマン・ショック、「100年に一度の危機」で大荒れ相場となった結果、値幅も24円に拡大した反動か、昨年は比較的小幅な動きとなった。そんな昨年並みの値幅にとどまるとしても、今年はまだ5円以上の値幅拡大余地が残っている計算になる。
かりに、今年のドル高値が94.9円ですでに記録されたとして、この値幅拡大が目一杯ドル安方向になるならドル安・円高は80円という、ドルの対円最安値を更新し、78円程度まで進む計算になる。決して値幅が年間平均を上回るほどの大相場にならなくても、80円を割れる余力があることは頭に入れておきたいところだ。

◆「大相場の秋」、今年はどうなる?
ところで、そんなドル円には、一方向に動きやすい時期、逆に逆方向に動きやすい時期がある。後者の典型は春相場。3-4月のドル円は、過去10年間で9年間が逆方向の展開となった。そして、この夏相場も、どちらかといえば逆方向に動きやすく、方向感が出にくい傾向がある。過去10年間の7-8月のドル円は、6回が逆方向の展開となっていたのである。
こういった春相場、夏相場と対照的なのが秋相場だ。9-10月のドル円は、10年間で7回同じ方向の展開となった。さらに、10-11月のドル円は、10年間でじつに9回、同じ方向の展開となった。2009年のドル円は8月に98円で頭打ちになると、11月末の84円台まで最大14円程度のドル安・円高となった。また、2008年は8月の110円から10月末までに90円へ約20円のドル急落となった。
これらは、2009年の場合は、ドバイ・ショックとして、2008年の場合は、リーマン・ショックとして記憶されているだろうが、そもそも秋相場は大相場になりやすいといった傾向通りの展開だったともいえそうだ。そして、今年夏の方向感のないドル円も、経験則通りと達観することができるだろう。経験則通りなら、「大相場の秋」が着実に近付きつつあるといえるわけだが、果たしてどうか?(了)


【参考リンク】
*注1.ドル円の90日移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=1&CODE=USDJPY#osatab

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2010.08.30 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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