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行き過ぎたユーロ安の修正シナリオ

㈱T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

ユーロ売りが急縮小している。ただ、そもそもこれまでが「未踏のユーロ売り」であり、その修正が進んできただけで、過去の実績からするとまだまだユーロ「売られ過ぎ」にあるようだ。その意味では、行き過ぎたユーロ売りの修正はまだ続く可能性があるだろう。

◆ユーロの売られ過ぎ修正
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、ユーロのネット・ショート(売り持ち)は、5月のピーク11万枚超から、先週は2万枚台に縮小してきた。ユーロ売りは、ピークからほぼ5分の1に縮小した計算になる。ただ、この2万枚台というネット・ショートは、かつての常識からするとまだまだユーロ「売られ過ぎ」といえる状況だ(注1)。
ユーロのネット・ショートは、今年に入ってから未踏の領域に拡大してきたが、それ以前は2008年9月に記録した4万枚が最大だった。そしてそれ以前は、ユーロは、買いが膨らみやすいものの、売りの拡大には限界があり、ネット・ショートは2万枚程度で、「売られ過ぎ」となっていた。そんな感覚からすると、最近のユーロ売りは、まだ「売られ過ぎ」の範囲内にあるということになる。
未踏のユーロ売りが、この間急ピッチで修正されてきたのは、欧州の金利上昇で、ユーロ売りコストが上昇したことがあったと考えられる。そんな欧州の金利上昇をにらみながら、さらなるユーロ買い戻しが続く可能性も注目されそうだ。

◆ユーロ下がり過ぎ修正の目処とは?
ユーロが対円でも反発を広げてきた。「下がり過ぎ」の反動といった観点で考えただけでも、117-120円程度まで一段と反発を拡大する可能性が高そうだ。
ユーロは、対米ドルでは1.18ドルから1.3ドルへ、約1割の反発となっている。これに対して対円では依然として5%程度の反発にとどまっている。原因は、円高・ドル安の進行だったが、それが足踏みの兆しを見せる中で、対円でもユーロ反発が広がりそうな気配となってきた。
ところで、ユーロは、90日移動平均線からのかい離率が、今回の対円下落局面で、マイナス10%程度まで拡大した。これは経験的にかなりの「下がり過ぎ」を示していた。いずれにしても、下落方向へ行き過ぎた動きは、「振り子の原理」で反動も大きく入り、最低でも90日線を回復する(注2)。
そのユーロ円90日線は、26日現在で116円台だから、これまでの話からするとユーロ反発は少なくともそれ以上まで続く見込みといえそうだ。ただし、中長期のユーロ安トレンドがまだ終わったわけでないなら、90日線からのプラスかい離率が大きく拡大し、短期上がり過ぎを広げていく動きには、自ずと限界があるだろう。
経験的には、90日線からのかい離率はプラス5%を超えたケースが少ない。その意味では、今回のユーロ反発が、あくまで短期下がり過ぎの反動ということなら、同かい離率はプラス5%を超えない見通しになるから、122円程度がせいぜいといった計算になる。(了)


注1. ユーロのポジション
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=R&mht3=1&CODE=EUR#osatab
注2.ユーロ円の90日移動平均線からのかい離率
https://www.money-and-money.com/osa/overshootalert.asp?mht1=osa&mht2=L&mht3=1&CODE=EURJPY&KCD=&chr=long#osatab

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2010.07.29 | FXレポート

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吉田 恒(よしだひさし)

プロフィール

吉田 恒(よしだひさし)

吉田 恒(よしだひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、 T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。グローバル投資情報「G20マーケットインサイト」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落、昨年2007年8月の円急騰など大相場予測の精度に定評がある。「わかりやすい、役に立つ、当たる」として顧客満足度の高さではFX界随一との呼び声が高い。

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